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  • 2005年8月12日 セメント混じりの建設汚泥を再利用できる-「バイオニュートラル工法」を開発-現場からの場外搬出ゼロを実現し、処理コストの2割を削減

セメント混じりの建設汚泥を再利用できる
-「バイオニュートラル工法」を開発-
現場からの場外搬出ゼロを実現し、処理コストの2割を削減

日清製粉(株)<社長 中村隆司>と清水建設(株)<社長 野村哲也>は、建設現場で発生するセメント混じりの汚泥を、微生物を使って現地で処理し、埋戻土として再利用できる「バイオニュートラル工法」を共同で開発しました。「バイオニュートラル工法」を適用すれば、現場からの建設汚泥の場外搬出をゼロにし、処理コストの2割削減が可能です。

セメント混じりの建設汚泥は一般的にアルカリ性が高く、産業廃棄物として場外の管理型処理施設で処分されます。しかし最近は、受入先の処理施設が不足気味で、運搬コストが余分にかかるため、環境保全の目的からも廃棄物の再資源化が望まれており、建設汚泥を現地で処理し再利用する方法の開発が望まれていました。

今回両社が開発した「バイオニュートラル工法」は、建設汚泥中などに含まれる微生物による発酵作用を利用しており、本工法用に日清製粉がバイオ技術を駆使して開発した発酵促進材「ニュートラルコンポ」を汚泥に添加し、嫌気的発酵をさせることで、促進剤内に含まれる栄養素が微生物を活性化し、発酵過程で生ずる有機酸類がアルカリ性を中和します。一ヵ月ほどの短期間のうちに、建設汚泥を中性化して、埋戻し土などへの再利用が可能となります。

「バイオニュートラル工法」は特別なプラントを使わず、通常現場に置かれている濁水処理設備に、発酵促進材の自動投入装置と攪拌装置を組み込んだ簡易なものです。濁水の処理能力は、設備規模にもよりますが、毎時100〜500tです。
処理プロセスは、まず沈降作用により濁水を水と泥状のスラリーに分離し、次にスラリーに発酵促進材「ニュートラルコンポ」を投入して攪拌します。そしてこのスラリーをさらに脱水して、粘土状の脱水ケーキ(長さ・幅50cm×厚さ3cm)に生成します。最後に脱水ケーキが雨水に触れないようにシート等で覆って、一ヵ月程度嫌気的に発酵させ中性化します。

「バイオニュートラル工法」の開発過程においては、微生物の嫌気的発酵が脱水ケーキ内で均一に、しかもより効果的に進むように、発酵促進材の投入のタイミングやスラリーの攪拌方法などに改良を重ねました。これらの工夫を施して行った試験では、試験体の中性化とその後の長期安定性が確認でき、本工法の有効性が実証されました。

≪バイオニュートラル工法の特徴は、以下のとおりです。≫

  1. 建設汚泥のpH値を10から8以下へ、短期間で下げて中性化し、さらにその状態を長期間安定して維持できます。
  2. 現地で建設汚泥を処理して再利用するため、現場からの汚泥の場外搬出をゼロにできます。また発酵促進材「ニュートラルコンポ」は小麦成分等の天然素材のみを使用しており、人工的な化学物質は一切使用しないので環境に配慮できます。
  3. 場外処理施設への運搬コストや産廃コストがかからず、また通常現場に置かれている設備を使うため、処理コストは2割程度削減が可能となります。

今後両社では、トンネル・ダム等の現場での実証データを蓄積して、埋め戻し土としての利用にとどまらず、植生基盤材などにも建設汚泥を再利用できるよう、さらなる技術の向上を目指します。