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003神戸|パンという名の伝統と革新
INDEX
PART1 開港とともにやってきた、神戸のパン文化
PART2 本格的なフランスパンは、ドンクがつくる
PART3 職人の五感がものを言う、焼きたてのパン
PART4 飾らない職人のパン、芸術家の手になる洋菓子
PART1|開港とともにやってきた、神戸のパン文化
1995年、阪神淡路大震災で多大な被害を被った神戸も、今ではすっかり復興を遂げ、街は再び活気を取り戻した。この2月には「神戸空港マリンエア」も開港し、グルメに、ショッピングにと、新しい側面が注目を集めているが、異国情緒ゆかしい神戸の姿ももちろん健在で、ここに惹かれる人も少なくないだろう。
ひもとけば1868年、神戸港(当時は兵庫港)の開港により、さまざまな国の文化がさして広くもないこの街に一気に流入した。いまだ馴染みのなかった人と物、情報が、突然あふれかえることになる。港近くには外国人居留地が設けられた。「風見鶏の館」や「うろこの家」など、坂を上った北野辺りに点在する二十数軒の建造物は、明治後期から外国人が移り住んだ異人館街。神戸を訪れたなら、まずは散策してみたい。
上)神戸のベイエリア。優雅にクルーズが楽しめる 下)北野異人館。神戸は「ジャズ発祥の地」とも言われる
上)神戸のベイエリア。優雅にクルーズが楽しめる
下)北野異人館。神戸は「ジャズ発祥の地」とも言われる
上)「神戸の食はレベルが高い」と、ドンクの友近社長 下)神戸の街には、バゲットがよく似合う
上)「神戸の食はレベルが高い」と、ドンクの友近社長
下)神戸の街には、バゲットがよく似合う
神戸を歩いていて気付くのは、パンとスイーツのお店が多いこと。それもそのはず、神戸のパンや洋菓子の歴史は、港の開港とともに始まったのである。開港の翌年には、居留外国人のための、外国人によるベーカリーが既に開業し、そのうち日本人によるベーカリーも誕生した。1905年、神戸に看板を掲げた藤井パンは、現在は全国に店舗展開をしているドンクの前身。そのドンクの友近史夫社長が、神戸について語ってくれた。
「神戸の食文化には2つの側面があると思います。ひとつは土地の背景。神戸には海があって、山があります。食材に恵まれているから、素材のよさを活かした、繊細な味わいの食べ物が多いのが特長です。もうひとつは、開港を契機にいろんな人たちが神戸に集ったということ。フランス、ドイツ、ロシア、中国、ありとあらゆる国の食文化が入ってきて、長い時を経ながらそれぞれに研鑚を積み、レベルアップを果たしました。パンや洋菓子にしても、それは同じ。だから狭い街ではありますが、全国に名を馳せた有名店が多いんだと思います」
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PART2|職人の五感がものを言う、焼きたてのパン
例えば、私たちが何気なく口にしているフランスパン。パンと言えば、食パンやコッペパン、あとはあんパンやジャムパンなどの菓子パンが一般的だった時代、本格的なフランスパンに挑んだのが、ドンクの3代目、藤井幸男さん(現名誉会長)だった。
1954年、フランス国立製粉学校教授のレイモン・カルヴェル氏が来日し、パンの講習会を開いた。そのときバゲットをはじめとする伝統的なフランスパンが国内で初めて紹介され、これらパンに衝撃を受けた藤井さんは心に決めた。
「本格的なフランスパンは、ドンクがつくる」
しかし、その道は険しかった。日本に製法が伝わっていなかっただけでなく、当時はまだ、フランスパンに適した小麦粉がなく、また蒸気が出るタイプのオーブンもなかったからだ。藤井さんは、後に「フランスパンの神様」と称されることになるカルヴェル氏やその弟子たちの尽力をとりつけ、さまざまな試行錯誤を繰り返した。ようやく満足のいくフランスパンが焼けるまでには、10年以上の歳月を要したのだった。
ドンクのバゲット。パンを求める客で店内は朝から賑わっていた
ドンクのバゲット。パンを求める客で店内は朝から賑わっていた
ドンク岡本グルメ館には、常時100種以上のパンがそろう
ドンク岡本グルメ館には、常時100種以上のパンがそろう
「藤井名誉会長に、よく言われたものです。友近君、もっといいものを食え、もっといいものを見ろ、とね。そうじゃないと、いいものはつくれないというわけです。
ドンクでは、1963年に初めて社員をフランスに派遣していますが、これは当時としては画期的なことでした。そうまでしなければ分からないことがあまりにも多かったんですね。今でも定期的にヨーロッパなどへの社員研修を欠かさないのは、パンの伝統を守っていく反面、新しい時代の流れもつかまないといけないから。そうでなくては、品質本位、お客様本位のパンづくりはできないと考えています」(友近さん)
この思想が創業当時から守られてきたからこそ、ドンクは100年を超えてなお、地域の人々に愛され続けているのだろう。
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PART3|職人の五感がものを言う、焼きたてのパン
店内のオーブン。焼きたてパンの言い知れない香りが漂ってくる
店内のオーブン。焼きたてパンの言い知れない香りが漂ってくる
フランスパンの材料は、小麦粉、イースト、塩、それと水だけだ。フランスパンに限らず、パンの材料はシンプルだから、その材料へのこだわりは欠かせない。だが、それにもまして重要なのがパンづくりに対する姿勢だ。例えばフランスパンなら、焼きたて30分後(粗熱がとれて)から数時間が食べ頃とされる。つまり、いかにそのタイミングでパンを食べてもらえるかが重要だと言える。
このためにドンクでは、各店舗とも粉から生地を仕込み、成形して焼き上げるまで、すべての工程を一貫して行う「スクラッチベーカリー」のスタイルを採っている。このスタイルは、焼きたてのパンがすぐに店頭に並べられるだけでなく、その日の温度や湿度などに職人が五感を働かせることで、その時と、場所に応じた最高品質のパンを提供することができるのだ。
ドンク岡本グルメ館の工房をおじゃまさせていただいた。ちょうどバゲットを成形しているところだった。ここで一日に使う小麦粉の量は120kgにも及ぶというから、流れ作業で大量に焼き上げるものかと思いきや、そうではない。一度に焼くのはバゲットなら、わずかに2、3本だと言う。
「それはそうですよ。お客様の立場から考えてみると、夕方とか、ある時間帯にしか買いに来られないという方が大半とちがいますか。朝にまとめて焼いたりしたら、その方は永久に焼きたてが食べられない」
そう笑う友近さんだが、岡本グルメ館のパンは常時100アイテムもある。これらパンが日に幾度となく焼かれ、店頭に並ぶおかげで、私たちは至福の味を口にすることができる。パリパリと芳ばしい皮、噛みしめるごとに香りと味わいを増す、もっちりとした中身。ドンクのフランスパンが美味しい理由は、こうしたこだわりからもうかがい知ることができた。
さまざまなパンが、1日に幾度となく焼かれている
さまざまなパンが、1日に幾度となく焼かれている
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PART4|飾らない職人のパン、芸術家の手になる洋菓子
上)焼き上がったばかりの山食は、パチパチと音を立てる 下)「毎日食べて飽きが来ないパンを」と、筒井社長
上)焼き上がったばかりの山食は、パチパチと音を立てる
下)「毎日食べて飽きが来ないパンを」と、筒井社長
「イスズの山食」と言えば、神戸通でなくとも耳にしたことがある方も多いのではないだろうか。こんもりと盛り上がった山型をした食パンは、1946年創業の老舗、イスズベーカリーの看板商品。今から35年ほど前に井筒英治社長が考案したものだ。当時は食パンと言えば、プルマン型(角型)のものが殆どだったので、試しにふたをしないで焼いてみたら、生地がふくらんで山型になり、非常に食感が軽くなった。これはいけると研究を重ねたと言う。
「ふつうの食パンは、砂糖、油脂が5%くらいずつですが、うちの山食はそれぞれ1%くらい。フランスパンに近い配合です。ごはんのように、毎日食べても飽きが来ない食パンにしたかったんで、卵も入れません。卵や砂糖が多い食パンは、口に入れた瞬間は美味しく感じても、毎日食べようかという気にはならんと思うんです」(井筒さん)
ふんわりとしていながら、引きのある食感。そしてサクサクとした皮は、ふつうの食パンのイメージとは別次元のものだ。その秘密は、すべてが手づくりという製法にある。
「手づくりだと仕上がりにボリュームがでにくいんです。しかし、この香りと、食感の引きは大量生産にはできんもんだと思うてます」(同)
イスズベーカリーの工房では、ちょうど焼き上がったばかりの山食がパチパチと、まるで生きているかのような音を立てていた。
神戸はまた、スイーツの激戦区としても全国にその名をとどろかせている。洋菓子店の数はおそらくベーカリーの比ではなく、それだけに各店ともレベルが高いのである。
南京町の中華街を少し折れたところにある2eme(ドゥズィエム)は、エストローヤルが出したカフェ併設店。エストローヤルの「シュー・ア・ラ・クレーム」は、高級なバニラビーンズをふんだんに使用したクレーム・サントノーレをシュー皮にたっぷり詰めこんだ逸品。シュークリームブームの火付け役となったことでも有名だ。
一方、2emeの看板メニューは「トゥルティエール・ドゥ・ガスコーニュ」。オーナーパティシエ、東山行延さんがパリで出会って一発で惚れ込み、さまざまな条件をクリアしたのち、日本での独占製造販売にこぎつけたと言う。紙のように薄いパイ生地に、リンゴとプラム、リンゴとレーズン、洋ナシとチョコなどのフィリングを包み込んでパリッと焼き上げている。店内では、できたてのガスコーニュにアイスクリームを添えて出してくれるのが嬉しい。
神戸北野ホテルがプロデュースするイグレックプリュスでも、リヨンやパリで修行を積んだパティシエ、多田征二さんの技が光る数々のスイーツを堪能することができる。「カシスモンブラン」は、フランス産のマロンクリームとカシスを合わせている。栗とカシスを組み合わせるのはフランスではポピュラーだそうで、栗のもったりとした味わいを、カシス果汁の酸味がよく引き立てている。ガーナ種などのチョコレートが多いなか、チョコレート全体の生産量が1%にも満たないというクリオロ種を使用したムースが「オクマレ」。クリオロ種はチョコの原種に近いもので、ワイルドでビターな味わい。フランボワーズ(木イチゴ)のソースがチョコの深みをより複雑なものへと高めている。
いずれも芸術の域に達したかのような、多くのパンと洋菓子に神戸で出会った。洗練された味と神戸の街並みは、やけにしっくり馴染むように感じられた。
上左)エストローヤルのシュー・ア・ラ・クレーム 上右)ドゥズィエムのトゥルティエール・ドゥ・ガスコーニュ 下左)イグレックプリュスのカシスモンブラン 下右)同じくオクマレ
上左)エストローヤルのシュー・ア・ラ・クレーム
上右)ドゥズィエムのトゥルティエール・ドゥ・ガスコーニュ
下左)イグレックプリュスのカシスモンブラン
下右)同じくオクマレ
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SHOP DATA
ドンク 岡本グルメ館
神戸市東灘区岡本1-8-21
TEL:078-412-4180
http://www.donq.co.jp/
定休日:3、4、5、9、10、11月の第3水曜
ドンク 岡本グルメ館
SHOP DATA
イスズベーカリー 生田ロード店
神戸市中央区北長狭通2-1-14
TEL:078-333-4180
http://www12.ocn.ne.jp/~isuzu/
無休
イスズベーカリー 生田ロード店
     
SHOP DATA
エストローヤル 2eme(ドゥズィエム)
神戸市中央区元町通1-5-10
TEL:078-333-6621
http://www.estroyal.co.jp/
定休日:月曜
2eme(ドゥズィエム)
 
SHOP DATA
イグレックプリュス 北野店
神戸市中央区山本通2-13-15
TEL:078-271-1909
http://www.igrekplus.jp/
定休日:火曜
イグレックプリュス 北野店

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