| 渡辺: |
ずばり、山根さんのイタリア料理というのはどんな料理でしょうか? |
| 山根: |
そうですね、まず最近はあまり重たい料理はつくれなくなりました。
しっかりとした料理でも、食べ終わってお腹がしんどくならないような料理を目指しています。 |
| 渡辺: |
いろいろとご経験される中で見えてきたことがあるんでしょうね。
山根さんご自身の年齢というのもあるんでしょうか? |
| 山根: |
そうですね。年齢的なものも確かにあると思います。
とにかく私は、ピュアな味、混じっていない味が好きなんです。もちろん複数の食材を一緒には使わないという意味ではありません。たとえば、赤と青を混ぜたら紫になるわけですが、紫の料理は嫌なんです。青と赤がそれぞれあって、ちょっとだけ紫に変わっている部分もあるね、というような料理をやりたんですよ(笑)。
それと、前回の対談でも話しましたが、イタリア料理の本質に迫るためにはイタリア人を知ることがとても大切だと思っています。
たとえば、うなぎ丼が出てくると日本人は“山椒(さんしょう)”が欲しくなりますよね。あるいは、かけそばやうどんが出てくると“七味”が欲しくなる。これなんですよ。
“うなぎと山椒”という組み合わせは理屈じゃないから、とくに理由はないですよね。もしイタリア人にうなぎ丼を出しても山椒を欲しがったりはしないし、「なんで山椒なの?」と聞かれても答えようがない。
イタリア料理でも、地方性であったり、個性だったりというのは、大抵そういう説明不可能な習慣的なことなんです。 |
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| 渡辺: |
それが文化なんでしょうね。 |
| 山根: |
そうなんです、私もそう思います。文化なんですよ。
だから、現地で学ばなければならなかったりするわけです。
渡辺さんは奥さんがイタリア人でいらっしゃるから、そういう点でとてもうらやましいです。 |
| 渡辺: |
はい。私もその点はイタリア料理の料理人としては大きなメリットだと思っています。 |
| 山根: |
われわれ日本人にとっての“うなぎと山椒”や“かけそばと七味”と同じように、「なんで?」と聞いてみても「イタリア人だからねぇ」としか答えようのないことっていっぱいあると思うんです。そういうイタリアン人でないとわからないことを、これからももっともっと知りたいと思いますね。 |