こむぎ粉くらぶ All About Flours And Flour Cooking
粉料理名鑑 粉料理名鑑レシピ 全国粉料理探訪 こなコラム クイズ粉料理百科 全国粉料理MAP
日清製粉グループ本社レシピと食の生活情報こむぎ粉くらぶ>こなコラム|二宮清純さん「春になると思い出す「東京真っ黒うどんつゆ」物語」
こなコラム
二宮清純さん
二宮清純さん
Seijun Ninomiya
スポーツジャーナリスト
1960年愛媛県八幡浜市生まれ。日本大学商学部卒。スポーツ紙や流通紙の契約記者を経て、フリーのスポーツジャーナリストとして独立。オリンピック、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開中。テレビ、ラジオのドキュメンタリー番組の構成も手掛け、1996年「野茂&ラモスのドリームトーク」(ニッポン放送)の構成で、すぐれた放送作品に贈られるギャラクシー賞優秀賞を受賞。スポーツジャーナリストとして活躍する一方、「地域」と「住民」を主体としたスポーツクラブづくりにも取り組んでいる。テレビのスポーツニュースや報道番組のコメンテーター、講演活動と幅広く活動中。主な著書に「勝ち方の美学」「奇跡のリーダーシップ」「スポーツ名勝負物語」「『超』一流の自己再生術」など多数ある。
春になると思い出す「東京真っ黒うどんつゆ」物語
四国の生まれなので、小麦粉といえば、やはりうどんですね。讃岐うどんが有名ですが、私の生まれ故郷である愛媛のうどんも美味しいんですよ。一日に一食は必ず食べていました。
カルチャーショックを受けたのは上京した時です。私は高校までを愛媛で過ごし、大学から東京での生活になったのですが、友人と連れ立って入った駅の立ち食いうどんのことは未だに忘れられません。
味ではなく色です。真っ黒でどんぶりの底がまるで見えないんです。それこそ「ウソだろ!?」という気持ちですよ。
というのも四国のうどんは薄口のしょうゆでダシをとるため、どんぶりの底が見えるんです。どんぶりの中に、麺がどのくらい残っているのかも、はっきりわかります。
ところが東京のうどんは関東の濃い口しょうゆでダシをとっているため、四国の人間からすれば、おつゆ全体が真っ黒に見えてしまうんです。
だから、マズイというわけでは、もちろんありません。濃い口には濃い口の良さがあります。ただし、どんぶりの底の見えないうどんは食べたことがなかったので、目が点になってしまったのです。
「おい、何やってるんだよ。早く食べないとさめてしまうぞ」
ズルズルと麺を口に運びながら、怪訝な表情で東京生まれの友人は言いました。
「いや、ちょっと……」
「だってオマエ、うどん大好きだって言ってたじゃないか。何を遠慮してんだよ」
うどんを目の前にして、おなかはグウグウと鳴りっ放しです。腹ペコなのにはしが動かないのです。
「ごめん、ちょっとオレ、おなかの調子が悪いようなんだよ」
「……だったら早く言えよ」
この体験がトラウマとなり、しばらくは駅の立ち食いうどんを見るたびに胃をおさえていました。春になると思い出す、上京時の苦い思い出です。