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岐阜県高山市生まれ。1983年よりラジオ番組の構成作家をはじめ、次第に出演もするようになる。86年、ライブ開始。87年「冗談画報」(フジテレビ系)でTVデビュー。以降、テレビ、ラジオ、ライブ、執筆などで幅広く活躍中。“ユーミン、山口百恵の勝手な新曲”など音楽パロディとモノマネで構成されたCD「歌のアルバム」(ソニー・ミュージック)、顔マネ写真集「清水ミチコのこれ誰っ!?」(宝島社)が絶賛発売中。
清水ミチコ オフィシャルホームページ
「シミチコ」
http://www.4325.net/ |
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私がまだ幼稚園に通っていた頃の話です。家に帰ると、祖母と普段から仲のいい近所のお婆ちゃんが居間に来ていて、私にこう言いました。
「ミッちゃん、こんなの食べてみる?」
と、微笑みながらアルミホイルを開いてくれました。とてもいい香りがし、中からは見たことのない食べ物が湯気を立てていました。なんともおいしそう。「ウチの孫の大好物」と、差し出してくれ、私はさっそく口に入れました。
しかし、それは私の期待していたような味ではなく、練った小麦粉をゴマ油で焼いたシンプルな塩味。甘いクレープのような子供っぽい味を期待していた私は、つい「おいしくない」と言ってしまいました。
その時のお婆ちゃんのガッカリした表情はいまだに忘れられません。しかし、それなのに「あれあれ、そうか! こりゃ参ったな。ふふふ」と、直ぐに笑いに包んだような空気に変えてくれました。私はしまった!と思い、後悔しました。どうして今、私はこんな言い方しかできなかったんだろう。いつもやさしい人に、何てことをしちゃったのか。もう一度これを頬ばってみて、やっぱりおいしい!と言ってみたらどうか、など一人おろおろ心の中で悩みました。
ところが、少し時間がたつと、口の中に残る味のおいしさがだんだんとわかりはじめてきたのです。子供の舌には遅かったのかもしれません。
さあ、やっぱりおいしかった!と今、言おう、さあ言おう、早く早く!とあせっているうちに頭がいっぱいになり、何も言えずに固まってしまいました。しかも直後、私の祖母に、まったくこのコは!などと怒鳴られながら、部屋から追い出されたのでした。
と、そんなシーンで、私のその思い出はとぎれています。
今思えばきっと、ごめんなさいだとか、ありがとうの一言でも言えてたなら、こんなに強く記憶には残ってなかったかもしれません。
私はいまだに、その時舌に残ってた、あのだんだん甘くなってくる澱粉の味がずっと忘れられず、いったいあのシンプルなお焼きのような香ばしい味は、どういうレシピだったのか、今となっては一番再会したい味として、心の中に生きています。
今でも小麦粉という言葉を聞くと、そのしょっぱい味が思い出とともによみがえってくるのです。小麦粉で作る料理がずっと好物なのも、そんなせいかもしれません。
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