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mサ屋のカステラを初めて食した人は「ふっくらとして、しっとりとした」独特な口当たりと、濃厚で風味豊かな味わいに新鮮な驚きを覚えることだろう。創業以来長い歳月を重ね、伝えられてきた職人の「手わざ」。mサ屋のカステラ作りは、卵の手割りから泡立て、混合、撹拌、釜入れ、焼き上げまで、ひとりの職人が一貫して責任を持って行っている。時は変わっても手わざの古法を守り続ける職人たち。卵と砂糖、小麦粉、水あめだけで作られたシンプルながらも奥深い味わい。だからこそ、ごまかしは一切きかない。厳選した素材を使うのはもちろん、1つ1つの作業もこだわりの積み重ね。とくに、カステラの口当たりや風味は生地作りでほとんど決まるため、職人たちはこのときもっとも神経を使うのだという。
泡立ての方法には共立法(ともだてほう)と別立法(べつだてほう)があり、mサ屋のカステラは別立法で作られる。別立法は卵を黄身と白身に分け、まずは手わざで白身の泡立てを行い、その後黄身とザラメ糖を加えて撹拌する製法だ。
シャカシャカシャカシャカ……。撹拌するときに響く小気味よい音。これが職人たちのリズムだ。長崎県多良見町にある工場では、一日中この音が鳴り響いている。長年、身体に染み付いたリズムで、白身を充分に泡立てる。
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左上)職人たちは焼き上がりまで、すべての行程を1人で手掛けている
右上)福砂屋の商標に用いられている蝙蝠は、中国で慶事やめでたいことの象徴
下) 心地よい音をたてながら、別立法でまずは卵の白身を丁寧に泡立てる |
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