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パンのこぼればなし
ナンはシルクロードの味
インド、パキスタンから中東諸国、北アフリカの一部にわたる広大な地域に広がっている半発酵の平焼きパン、ナンのごわごわした舌ざわりは、チャイ(お茶)とともに、シルクロードを旅する人が、1度は口にする味だ。俗にわらじパンと称されているように、ワラジのような形をしていて、大きいものは50cm以上ある。小麦粉に水を加え、練りあげて生地を作り、薄く伸ばしてタンドールというれんがを粘土で塗り固めた半地下式のパン焼きかまどの側面に張り付けて焼く。厚さは1cmまでぐらい。

ナンとはパンを表す総称で、アフガニスタンでは食物全体を意味する言葉でもある。

西洋パンのように見栄えがする食べ物ではない。かまどで焼くときに空気の抜ける穴がいくつもあいているし、種類によっては色も黒っぽい。そのため日本人旅行者がぞうきんと間違えたという笑い話も。

ナンには大きく分けて4種類ある。かまどに砂利を敷いて、その上で焼いたサンギャーギ、上層階級の人たちが好むバルバリ、円板状のタフツーン、1mm弱の厚さで、包んで食べられるふろしきのようなラワーシ。

アラブ人は、これらに羊肉や野菜、果物まではさんで食べる。それも、左手は不浄なため、右手につかんで。この包んで食べるやり方は遊牧民の生活形態にピッタリで、パンが食器代りになっているわけである。これにヨーグルトとタマネギ、チャイがつけば、まさにアラブの味覚そのものだ。

このナンによく似たもので、タンナワーがある。これはナンよりかなり薄型。

その他、アラブにはホブスと呼ばれる半発酵パンがある。これは漂白小麦粉を原料にして短期間で焼くため、焼き上がりが白く、大きさも20cm ぐらいで、ナンよりも小さい。
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