日本の真言密教の開祖、弘法大師(空海)の数多い逸話、伝説のなかでも、次は高知の民俗学者坂本正夫さんが採集したもの。
弘法大師が唐の国で、珍しい麦という作物を知り、それを盗み出そうとするが、番犬がワンワンほえる。そこで麦を3粒だけ盗んで、足の裏を切り、その中に隠してしまう。それでもしきりにほえる犬に畑の持ち主がついに気づいて出てくると、弘法大師をつかまえて「おまえ、何か盗んだろう」と問いつめ、身体検査をするが何も出てこない。それで怒った主人は、番犬をつえでたたき、はねとばした。するとその犬は阿波まで飛び去り、そこで犬神になった…というなんとも気宇広大なお話。
弘法大師という人、中国からこの国に初めてそばを伝えた、せんべいを持って帰った、と伝説の多い人だが、そのいちばん元の材料の麦(時代から察すれば多分小麦)までも、という話は珍しい。 |
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