あなたは風邪のひきかけにはどのような処置をしますか?ビタミンCをたくさんとる。ホットレモンが効果的。焼きニンニクもいい。なんといっても熱い風呂に入って酒飲んで寝るのが一番…人によって治療法はさまざまだが、しかし「きつねうどんでもとるか」などという人はあまりいないだろう。
かつて大阪では、うどんの出前をとるときに、風邪をひいたといえば、「うどんや風薬」というトンプク薬を添えて届けてくれた。うどん屋には、風邪のシンボルである青鬼を武者が射落とそうとしているポスターがはってあって、風邪薬が常備されていた。いまでも年配の御仁のなかには、そのトンプク薬を飲んで、熱いうどんをふうふういいながら食べて汗を流し、風邪を退治した記憶をお持ちの方が少なくないはずだ。大阪島之内・末広勝風堂の<うどんや風一夜薬>など、懐かしい名前にちがいない。
故郷を離れて奉公していた少年たちにとっては、風邪をひけば好物のうどんを主人に気がねなく食べて、早寝もできる。うれしい病いでもあったなどと胸に迫る話もある。
うどん屋と風邪はこんなふうに親しい関係にあった。その雰囲気をよく伝えているのが、落語<風うどん>だ。
町を流す夜なきうどん屋。とある店屋から声がかかる。それがいかにも小声なので、うどん屋は内緒の夜食だろうと気をきかせて、同じく小声で対応すると、店の内から「うどん屋さん、あんたも風邪か」 |
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