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47都道府県のコナモン

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東京のご当地名物うどん

東京の名物うどんは?と聞かれても、よほどの麺通でなければ答えられないかもしれません。

でも江戸時代から、暮らしのなかにうどんが欠かせなかったエリアがあるんです。

それは、東京都武蔵村山市。
2006年に「村山うどんの会」が設立され、専門店をはじめうどんを扱うお店が増加。休日には東京ご当地うどんのおいしさに、うどんファンが行列を作るようになりました。

昭和45年に武蔵村山市となった村山郷から埼玉県の秩父一帯は、雨量や土地の適性として稲作より小麦粉栽培がさかんでした。

村山の「かてうどん」は天保6(1835)年ごろから、中藤村、三ツ木村、横田村、岸村など武蔵村山周辺で食べられていたといいます。
冠婚葬祭のしめの料理として、うどんは定番となり「うどんが打てなければ嫁にいけない」と言われるほど、うどん打ちが日常的に行われていたうどんの村だったのです。

案内してくださった「村山うどんの会」の藤本ゆみ子さんに、村山かてうどんの特徴を教えていただきました。

まず麺は、国産小麦を使用。茶色がかった太めのうどんです。

つけ汁は、かつお節などの節類と昆布、煮干しでとっただしに、醤油ベースのかえしを合わせた温かいつけ汁。

麺には必ず「かて」と呼ばれる野菜がつきます。地元で栽培された小松菜や野菜の天ぷらなど、お店ごとに個性が光ります。

昔はつけ汁に入るのは薬味ぐらいでしたが、戦後はつけ汁に豚バラを入れるようになり、「肉汁うどん」が村山かてうどんの看板商品となっていきました。

手打ち、手切りの醍醐味

昔ながらの「もりうどん」、ゆで野菜と野菜天付き
「村山満月うどん」の麺量は6段階。ちび盛りから超特大盛りまで!

家ごとに手作りされていた村山かてうどんが、時代の流れとともに製麺所で作られるようになり、その後食堂を備えたうどん店が登場するのは2000年代初頭から。

製麺所からのちにうどん店となった「村山満月うどん」におじゃましました。

1986年から比留間みつさんが手打ち麺を販売していましたが、2003年に食堂をはじめ、いまでは息子夫妻の良幸さん、麻里さんが受け継いでいます。

塩水でこねて、ねかせた地粉を少しずつのばしていきます。
少しずつ薄く広がっていく生地を、何度も麺棒にまきつけてさらに薄くしていきます。

均一に切れるように、生地は円形から四角に広がり、直径30㎝くらいの円形が一片70㎝以上の大きな四角形になるまでに約10分。
相当な力とコツが必要です。

なめらかな風合いの布地のような生地は、包丁で3mmくらいの幅で手切りされていきます。

目盛りも何もないのに、手の感覚だけでトントンと麺が出来上がっていく様子に見とれてしまいました。

最後に、端の不定形な生地を食べやすい大きさに切って、生麺が完成。
「ミミ」と呼ばれるこの最後に残る端の部分こそ、手打ち、手切りの証。

10~12分ゆでられた麺は、水でしっかりしめられます。
やや色づいた割り箸より太い豪快な麺、ざるにのって、野菜を添えられて登場します。

力をかけて、薄く薄くのばしていく
手の感覚だけで、等間隔に切られる
麺のできあがり

看板メニュー「肉汁うどん」

「村山かてうどんMap」に掲載されているお店を6軒ほど回ってみましたが、どこも共通して提供されるのが「肉汁うどん」です。

「笑乃讃」の肉汁つけうどん
「笑乃讃」の濃厚胡麻つけ汁うどん

笑乃讃
住所:東京都武蔵村山市三ツ藤1-86-4
電話番号:042-569-1056
営業時間:昼11:00~15:00(ラストオーダー14:45)
     ※売り切れ次第終了
定休日:月曜日 ※月曜日が祝日の場合は翌火曜日

肉は豚バラ。
「笑乃讃」の店主は中華の修業をされていたので、チャーシューにしてつかっています。

豚バラが入ったつけ汁は、かつお節などの節類と昆布、煮干しでとっただしに、醤油ベースのかえしを合わせたもので、小さめの丼にはいってアツアツです。

横には水でしめられたゆでたての麺に彩りよく「かて」と呼ばれる野菜が添えられています。

「かて」をつまみながら、醤油、うま味、甘味のバランスのいいつけ汁がからむしっかりした麺をかみしめ、豚を味わい・・・、その繰り返しが止まらなくなります。

「村山満月うどん」の肉汁つけうどん

村山満月うどん
住所:東京都武蔵村山市三ツ木1-12-10
電話番号:042-560-3559
営業時間:昼11:00~15:00(ラストオーダー14:30)
     夜18:00~21:00(ラストオーダー20:30)
     ※金曜日・土曜日のみ
定休日:月曜日、第2火曜日、年末年始、その他不定休

つけ汁も、胡麻、とろろ芋、カレーなど種類が多く、麺はもちろん、つけ汁、薬味もお店ごとに特徴があるので何軒か食べ歩きたいもの。麺の量も少なめから5玉以上まで選べるので、おなかに合わせられるのが嬉しいです。

祖母の打ち方を母が受け継ぎ、孫へと伝えられた村山かてうどんの製麺技術の伝承は、このエリアが誇る文化として息づいています。

「一休」の村山かてうどん(肉汁ざるうどん)

一休
住所:東京都武蔵村山市本町1-48-1
電話番号:042-520-1919
営業時間:水~土11:00~13:30,17:30~23:00
     日11:00~14:00,17:30~23:00
定休日:昼・夜とも月曜日、火曜日

村山のゆでまんじゅう

田舎屋の「肉うどん」

田舎屋
住所:東京都武蔵村山市中藤4-39-5
電話番号:042-564-4428
営業時間:昼11:00~15:00
定休日:水曜日、木曜日

最後におじゃましたのは、田舎屋さん。地元の食堂として愛されるお店です。

肉汁うどんはありますが、寒くなってくるとおだしたっぷりのかけうどんである「肉うどん」も人気。豚の甘みと脂のコクが、地元の醤油味をひきたてます。

こちらでは、うどんの生地で小豆あんを包んだゆでまんじゅうも人気です。小麦粉のもっちり食感が自然な甘みの小豆と相性がよく、かなりのボリュームというのに1個ぺろりといただけました。

奥東京のコナモンエリア、江戸時代から続く郷土料理の代表格として、武蔵村山市の村山かてうどんは、もっと多くの人に知っていただきたい、味わい深いご当地の味覚文化なのでした。

「村山うどんの会」藤本さんがもう一つの名物もすすめてくださいました。
もっちり食感、田舎屋の「ゆでまんじゅう」
お店の前で、店主ご夫妻(中央)と探検隊メンバー
おすすめ商品紹介

参考文献 村山うどんの会ガイドマップ

文・写真 日本コナモン協会会長 熊谷真菜 ※2019年8月取材