それいけ!コナモン探検隊!

47都道府県のコナモン

47都道府県のコナモン

その1、発祥の聖地を訪ねる

宇佐市の「カラアゲ発祥の地」石碑

この10年で大きく進化を遂げた日本の唐揚げ事情を知るために、まずは唐揚げ専門店発祥の大分県宇佐市へ。

このエリアで唐揚げ専門店が誕生したのは、高度経済成長期に養鶏場があり、鮮度のいい鶏肉が手に入りやすかったことが挙げられます。

宇佐市「からあげ太閤」の揚げたて
ロケ地となった宇佐市

1950年代後半、「庄助」が開業。その石碑が宇佐市にあります。

1988年には「からあげ太閤」が開業、「宇佐からあげマップ」には50店あまりが掲載されています。

中津からあげのポスター

たとえば運動会のランチでもオードブルの大きな容器に満載の唐揚げが欠かせないそうで、数日前から予約注文がはいり、当日は唐揚げの配達を待つ保護者たちが校門前に並ぶといいます。

隣の中津市は人口に対して唐揚げ専門店が一番多いということで、2009年に「からあげの聖地」として認定され、宇佐市とともに唐揚げブームをけん引してきました。

その2、ムネを味わう

中津市「鳥しん」のムネ肉の唐揚げ。このジューシー感が最高

おいしい唐揚げ、といえば小さい頃からモモ肉をイメージしていましたが、本場の唐揚げ専門店をたずねて気づいたのは、ムネ肉唐揚げのおいしさでした。

かんだあとを観察すると、ムネ肉の層になった部分から、肉汁がしたたっているのです。仕込みと揚げ技で、あっさりしたムネ肉がジュワッとジューシー、香りよくコク深く、もう止まらないおいしさ。

唐揚げファンとしては、まずムネ肉の唐揚げのおいしさに目覚めることで、次のステップに進めるような気がしています。

その3、部位ごとの個性を味わう

中津市「もり山」のぶつ切り
地元ならではの骨付きネックの唐揚げ
手羽元のトンボ(宇佐市)

専門店では、丸鶏を仕入れて仕込むお店が多いので、各種部位の唐揚げがあるんです。

骨なし、骨付きのモモ、ムネにはじまり、砂肝、皮、せせり、手羽先、チューリップ、ムネ軟骨、ヒザ軟骨、レバーなど。

驚いたのは骨付きネック。せせりの肉を取ったあとのネックを丸ごと揚げたもので、骨のすきまのお肉を少しずつ楽しむので、ほかの唐揚げとはちがって時間をかけて味わいます。

手羽元を食べやすく切り離した「トンボ」もおすすめです。

その4、専門店の主人と語らう

グランドチャンピオン「もり山」本店前で。(左から2代目、森山社長、著者、八木専務理事)

唐揚げ専門店の町ですから、車やレンタサイクルであちこちのお店を回るのが一番。

実は、揚げる時間を節約したいので地元の人は必ず電話注文なんだそうです。

来店してから注文するのはビギナーらしく、そんな豆知識は揚げている間の会話で教えてもらえます。お店の人との会話は唐揚げをもっとおいしくしてくれるでしょう。

運よく店主さんに出会えたら、唐揚げにまつわる会話で盛り上がること間違いなしです。

その5、からあげ弁当、からあげ定食

中津市「むら上食堂」のお品書き

宇佐、中津ともに、唐揚げ専門店で育った世代は、唐揚げがおやつだったといいます。

そのまま食べてもおいしいですが、ご飯との相性も良いので、からあげ弁当、からあげ定食も人気なんです。

「げんきや」では、おかずにぴったりのチキン南蛮やとり天もありますので、ぜひ白米セットで注文してみてください。耶馬渓へ行く途中の「むら上食堂」には、唐揚げ定食もあります。

その6、ギネス世界記録達成!

1.6トンの唐揚げを前に、ギネス世界記録達成を祝う店主たち

2019年9月15日に「からあげの聖地」中津市で「第12回からあげフェスティバル」が開催され、「からあげ供給量」のギネス世界記録に挑戦しました。

市内外から18のからあげ専門店が参加、約1.67tを揚げ、記録達成となりました。

第4回フェスティバル(2011年)で、計1.07tを揚げてギネス世界記録を打ち立てましたが、2017年に鳥取県米子市の鶏肉加工販売会社が1.53tを揚げて記録更新。

今回は「世界一の称号を『鶏戻そう』!」と会場のイオンモール三光で、ギネス世界記録の公式認定員が午前11時ごろに達成を宣言、記録は1.667301tでした。

前日、翌朝6時に揚げをスタートする有名唐揚げ店の社長たちが意気込みを語っておられたので、どんな激しい現場になるのか気合を入れて出かけたのですが、意外と穏やかに揚がるタイミングを見ながら各ブース担当の100kgもの唐揚げを黙々と揚げるのが印象的で、審査会場に運び込まれる唐揚げの山は唐揚げ好きにはたまらない光景となりました。

その7、唐揚げ全国調査

『KARAAGE PERFECT BOOK2020』

10月に刊行された初の唐揚げバイブル『KARAAGE PERFECT BOOK2020』はまさに完璧な編集で、一家に一冊あれば家族で楽しめる唐揚げ本の決定版です。

2018年6月に株式会社ニチレイフーズと一般社団法人日本唐揚協会が実施した「全国から揚げ調査」では、成人の年間唐揚げ消費個数は約220億個、一人当たり約240個を食べている計算だそうです。

また1か月の一人当たりの消費量の調査では、青森県が32個で1位、大阪が30.9個で2位、福岡県が29.9個で3位。

また、食べたくなる唐揚げフレーズとして「ジューシーな」(大阪府)、「ジュワッと」(福井県)、「カリッと」(高知県)、「サクッと」(佐賀県)、「ふわっと」(静岡県)など、エリアの気候風土に対応した好みの変化が好む食感にも表れているようです。

このほか、手作り唐揚げを食べるときの調味料や、付け合わせの野菜など、唐揚げにまつわるさまざまな視点での調査結果が解説とともに紹介されています。

その8、総菜唐揚げの進化

戦後の食糧難対策として各地に養鶏場が作られ、高度経済成長期に中華料理店・食堂・居酒屋で唐揚げを看板メニューにする店が現れました。

昭和45年(1970年)に大阪で開催された日本万国博覧会では、ケンタッキー・フライド・チキンが実験店を出店し、フランチャイズ展開が始まりました。

おやつ唐揚げの先駆けは昭和61年(1986年)にローソンから発売された「からあげクン」。それから20年後の2006年にファミリーマートが「ファミチキ」、セブンイレブンは2007年に「和風鶏唐揚げ」や「フライドチキン」を発売。唐揚げが家庭内から、外出先でも手軽に購入しやすい商品となっていきました。

2010年からは“からあげグランプリ”「最高金賞」受賞店が話題になり、それはニッポンの唐揚げブームに火がついた瞬間だったといえます。

2011年にはコンビニがイカ、甘えびなどの海鮮唐揚げを商品化。

2013年には「ハイカラ(ハイボールと唐揚げ)」ブーム。

2014年にはスーパーマーケットの惣菜唐揚げが騒がしくなり、冷凍唐揚げもおいしさが評判になります。

2018年4月段階で専門店は1408店舗、10月には「から揚げ強化月間」がスタート。

2019年にはからあげグランプリにスーパー総菜部門が新設され、全国のスーパーマーケットが総菜唐揚げの開発に取組み、どんなシーンにも唐揚げが彩りを添える時代になっていきました。

その9、手作りが嬉しい「からあげ記念日」

唐揚げはおかずの大定番。牛肉、豚肉に比べて安価な鶏肉は子供たちの大好物で、昭和49年(1974年)には「日清 から揚げ粉」が登場し、この時からすでに唐揚げは「国民的おかず」という地位を得ていたのかもしれません。

2013年には宇佐市の「からあげ太閤」はじめ、「日清からあげグランプリ最高金賞店監修から揚げ粉」が全国発売され、ロングランヒット商品になりました。

カレー味のからあげ 君がおいしいと言った記念日六月七日
(俵万智『短歌をよむ』岩波新書1993年)

1987年大ベストセラーとなった俵万智さんの『サラダ記念日』は、実はカレー味の唐揚げがきっかけだったそうです。

推敲を重ねるなかで七月六日のサラダ記念日になったそうですが、恋人のため、子供のため・・唐揚げを作るちょっとした日常に素敵なエピソードがあるのも幸せなことですね。

その10、世界の唐揚げとその未来

北京国際美食発展大会での唐揚げ紹介

「日本人だけでなく、世界の人が鶏好きなんです。唐揚げは鶏料理の一つ。安価な材料でもおいしくでき、まさに庶民の食文化です。フライドチキンやバッファローウイング、油淋鶏、ヤンニョムチキン、アヤムゴレン、南米のポジョ・フリート・・世界の揚げ鶏料理はどのエリアでも愛されています」と語る日本唐揚協会の八木専務理事。

先日開催された北京国際美食発展大会で、日本の単品メニューについて講演した時も、唐揚げについて紹介させていただきました。日本人が中華料理から得た発想を日本人は400年以上かけて、現代の唐揚げにまで進化させたわけです。このアイテムを中国の人々はどう展開していくのか、世界の唐揚げ事情から目が離せません。

おすすめ商品紹介

参考文献
『KARAAGE PERFECT BOOK2020』日本唐揚協会監修 からあげパーフェクトブック2020製作委員会発行 2019年
『長崎・聖福禅寺の普茶料理』田谷昌弘 長崎新聞社発行 2012年
『中華料理の文化史』張競 筑摩書房発行

文・写真 日本コナモン協会会長 熊谷真菜 ※2019年11月取材