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コナモンライブラリ

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鶏のからあげが一般家庭に普及したのはいつ?

一般社団法人日本コナモン協会会長 熊谷真菜
一般社団法人日本唐揚協会専務理事 八木宏一郎

熊谷真菜氏(以下、熊谷): 揚げもののルーツをたどっていくと安土桃山時代あたりまでさかのぼりますけど、鶏のからあげが一般家庭に普及したのはいつ頃でしょうか?

八木宏一郎氏(以下、八木): 一般家庭に普及する起爆剤になったのは、1974年に日清製粉さんから発売された『から揚げ粉』です。ただ、それ以前から普及の下地が、全国の家庭に徐々に広がっていました。その下地のひとつが、三種の神器のひとつである冷蔵庫です。1950年代後半から1970年代にかけて急激に普及したことで、家庭でからあげを作れる下地が出来上がっていきました。

熊谷: 鶏は特に足が早いですからね。冷蔵庫がないと新鮮な肉が手に入る範囲でしか、からあげは作れませんね。

八木: その新鮮な肉が手に入る範囲というのが、からあげが普及するふたつ目の下地です。高度経済成長期に全国のインフラ整備が進み、物流網が大きく発展します。そこに物流における冷凍・冷蔵技術の進化が加わって、一般家庭で新鮮な鶏肉を手に入れることができる範囲も、飛躍的に広がっていったんだと思います。

熊谷: 鶏のからあげは、揚げものの歴史のなかではだいぶん後の方で登場したのに、急激に普及しましたよね。

八木: 肉の揚げものを作ろうとしたときに、鶏は値段が安い上に流通量が多いので、買いやすかったからだと思います。

熊谷: ブロイラーが登場したことも、鶏肉を手に入れやすくなった要因ですよね。

八木: おっしゃる通りで、ブロイラーがアメリカから日本に導入されたのは1960年代です。鶏のからあげが家庭に普及する下地が作られていった時期と、ちょうど重なっているんです。おそらく1970年頃には、自宅で小麦粉や片栗粉を使って鶏のからあげを作る人達が、ちらほらと現れ始めたんじゃないかと思います。そこに満を持してから揚げ粉が登場し、一気に全国の家庭に広がったんでしょうね。

粉で考えるからあげ、カツ&フライ、天ぷらの違い

八木さん
タピオカ粉、米粉、コーンスターチ、からあげの粉は幅広いんです。

八木: 現在はからあげといえば一般的には鶏をイメージしがちですが、実は日本唐揚協会ではからあげを「具材に粉をまぶして、油で揚げた料理」と定義しています。もちろん鶏肉以外を使ったものも含みます。そこで、からあげとカツ&フライ、天ぷらの違いについて考えてみたいと思います。まず、カツとフライは、パン粉を使うことが特徴ですが、カツとフライの違いは何だと思われますか?

熊谷: 名前で考えてみると海老の場合は、普通はエビフライで、エビカツというのはあまり聞きませんね。

八木: 鰺だとアジフライですね。アジカツと言うことはありません。カツの方は、トンカツやビーフカツ、メンチカツのように、畜肉でよく使われている気がします。

熊谷: はっきりと線引きできるかどうかわかりませんが、魚介類や野菜等にパン粉を付けて揚げたものがフライ。畜肉の場合は、カツという分け方は考えられると思います。

八木: カツとフライはパン粉を使うことがポイントでしたが、天ぷらを定義する条件は卵を使うことですか?

熊谷: 天ぷらは、江戸時代中期に普及しますが、当時は精進料理として食べられていたので、卵は使いません。水溶きした小麦粉を使うのが、天ぷらの条件のひとつという気がします。あと天ぷらは、具材に野菜がよく使われるのも特徴です。

八木: からあげは、条件が少ないというか、逆にその幅広さが特徴です。粉に関しては、小麦粉や片栗粉、米粉などさまざま。タピオカ粉やコーンスターチを使うこともあります。ざっくりと線引きをすると、具材に下味を付けて粉をまぶすのがからあげ。パン粉を使うのがカツとフライ、水溶き粉が天ぷらといえるのかもしれませんね。

粉で見る 天ぷら、からあげ、カツ&フライの違い
からあげ
からあげ

ノンジャンルの粉をまぶす!

粉に決まりはなく小麦粉や片栗粉、米粉、タピオカ粉など何を使ってもよい。下味を付けた具材に粉をまぶし、油で揚げた料理。一部店舗では素揚げもからあげとして提供。

天ぷら
天ぷら

水溶き粉を使う!

衣に水で溶いた小麦粉を使う。揚げた後で衣が剥がれにくくなるように、水溶き粉を付ける前の具材に打ち粉をする。打ち粉には、小麦粉のほかに片栗粉などを使うことも。

カツ&フライ
カツ

パン粉を使う!

具材にパン粉をまぶして衣にするのが特徴。小麦粉や溶き卵なども使われる。カツの語源はフランス語のコートレットといわれており、明治になって西洋から伝わった。

世界中でKARAーAGEとして愛されるためには?

熊谷さん
歴史的にも世界の鶏料理のいい取りをしているので、ニッポンのからあげは無敵です!

八木: 今後は、下味を付けてから粉をまぶして揚げるスタイルを、KARAーAGEとして世界へ発信したいと考えています。全世界でKARAーAGEが愛されるために、どうすればいいかご意見はありますか?

熊谷: 世界的に見ると、宗教上の理由などで食べられない肉があります。しかし、チキンはそれに該当しません。世界へ羽ばたくためには、タブーが少ない鶏が最適ですね。あと、日本で定食や弁当が定番になっているように、からあげとご飯は相性が良いんです。もともと米を食べる文化がある国には、比較的すんなりと入っていけると思います。

八木: なるほど。からあげ単独ではなく、米とセットでアピー なるほど。からあげ単独ではなく、米とセットでアピールするというのは、良い手かもしれません。

熊谷: パン食が中心の欧米でも、お寿司は既に人気があります。おにぎりも人気なので、天むすと同じ発想でからあげおにぎりというのは、面白いと思いますよ。

八木: お寿司が好きな人なら、醤油にもなじみがあるはず。醤油で味付けしたからあげも、気に入ってもらえる気がしますね。からあげは、お寿司と違っておやつ感覚で食べ歩きもできるので、テイクアウトのみのカジュアルなからあげ専門店も、人気になるチャンスが十分にありそうです。

熊谷: 海外にも鶏の揚げものはありますけど、どれも基本的に肉がメインです。一方、からあげは、軟骨や砂ずりなど細分化されていますし、部位ごとに異なる食感や味わいを楽しめる。そういう日本らしい細やかさは、海外の人は喜びます。アメリカのワッフルチキンのような合わせ技にすればバリエーションは無限です。今、お寿司のほかに天ぷらやラーメン、うどん、お好み焼き、たこ焼きも海外で知られています。次は、からあげの番だと思いますよ。

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