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コナモンライブラリ

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富士山を抱える
観光都市・富士宮市

晴れた日は、富士宮市街のいたるところから富士山が臨める

意外と知られていないことですが、2013年ユネスコ世界文化遺産へ登録された「富士山」の山頂・剣ヶ峰は「富士宮やきそば」で有名な静岡県富士宮市にあります。平安末期に始まった富士登拝は、室町時代には一般的になり、富士宮口は富士山表口としてにぎわうようになりました。

富士山をご神体とする「富士山本宮浅間大社」本宮の鳥居
「富士山本宮浅間大社」本宮の境内にある湧玉池

富士宮市街に本宮が立地する「富士山本宮浅間大社」は神が宿る山・富士山をご神体とし、奥宮は富士山頂上にあります。富士山頂に太陽が重なり、それが湖面にも映る“ダブルダイヤモンド富士”。そんな絶景が見られる「田貫湖(たぬきこ)」は希少生物の宝庫。また酪農がさかんな「朝霧高原」、流水パノラマ「白糸の滝」など、観光資源の豊かな場所、それが富士宮市です。

B級グルメ
「富士宮やきそば」デビュー

いまでは全国区の「富士宮やきそば」が誕生したのは1999年

富士宮市は豊かな自然を有し、朝霧高原の酪農や湧き水で育ったニジマス、日本一の標高差を生かした多品種の野菜づくりなど、古くから多くの食資源に恵まれ、大切に育んできました。

2004年には「食の集積地、富士宮」を活かした町づくりを標榜し、フードバレー構想をスタート。そのキックオフシンポジウムには、私もパネラーとして参加させていただきました。以降、市長はじめユニークな人材によって、グルメな取組みを推進しています。

「富士宮やきそば」の材料。右が「肉かす」、その左にあるのが「だし粉」

その代表格が「富士宮やきそば」。

富士宮で生まれ育った「富士宮やきそば学会会長」渡邉英彦さんが、植木等の「無責任一代男」的、昭和流のウイットに富んだノリで、富士宮のブランディングとマーケティングの核にすえた、ご当地グルメです。地元のお好み焼店の定番焼きそばを1999年「富士宮やきそば」と命名したのが、誕生のきっかけでした。

地元の製麺所の蒸麺をソースで炒め、主な具材はキャベツと「肉カス」、仕上げに「だし粉」(イワシ、サバの削り粉)、紅ショウガ(通称ミカちゃん)を添えて提供。従来使われていた天かすが不足していたところを地元の精肉店が着目し、ラードをしぼった残りカスを油で揚げた“肉カス”を入れるようになりました。

生地の上にネギなどをのせて焼いた洋食焼に麺を合わせた「しぐれ焼」も、富士宮のローカルフード
富士宮やきそばの独特の蒸麺は、コテでしっかり広げて焼かれる

もともと製糸工場が多く、女工さんたちの“楽しみの食”としてお好み焼店が多かったので、ねぎ焼きや洋食焼など、お店ごとにいろいろ工夫がなされていたようです。洋食焼に麺をあわせた「しぐれ焼」もその一つ。

富士宮やきそばを提供するお店には、だいたい大きな鉄板が1枚あり、囲むように座って、鉄板から直接コテでいただきます。おでんや駄菓子屋を置いていたりと懐かしい雰囲気。富士山のお膝元に30店舗あまり、地元の人や観光客でにぎわっています。

高校生がよみがえらせる
富士宮コナモン

富士宮やきそばを手にする渡邉会長

「富士宮やきそば学会」の渡邉会長はフードイベントブームの先駆けとなった「B-1グランプリ」を主催する「愛Bリーグ本部」の代表理事でもあり、2007年の「第2回B-1グランプリ」は富士宮市で開催され、その名を全国に広めました。

「のしこみ」の説明をする「富士宮高校会議所」3代目会頭・高校生の遠藤祐太さん
きしめんに近い「のしこみ」の麺。魚介類も入っている

現在「ご当地グルメ」が盛り上がりをみせるなか、渡邉会長は継承者育成をめざし「日本高校会議所」なるアイデアを形にしています。

母体となる「富士宮高校会議所」の高校生が会員となり、会頭の選挙も富士宮市民による総選挙で選出されます。彼らは、高校生の視点で地域振興、ビジネスの手法を実践から学び、富士宮の活性化に向けて活動しています。3代目会頭・遠藤祐太さん、事務局長・時田定則さんに活動について伺いました。

その一つが「のしこみ」の再発見。

小麦粉をのして(のばして)煮込んだ小麦粉ベースの郷土料理です。富士宮の郷土料理研究家・望月英樹さんの指導のもと、高校生の味覚を取り入れて、お祭りなどのブースで現代のテイストで復刻され、提供されています。

熊谷会長も入って、渡邉会長、「富士宮高校会議所」の皆さんと記念撮影

静岡県と山梨県を結ぶ交通の要衝だった富士宮の食文化において、やきそばの先輩格でもある「のしこみ」は、山梨のほうとうに対して「海鮮ぼうとう」とも呼ばれたそう。平打ちで、名古屋のきしめんに近い印象。山梨より海に近いため、かまぼこなどの魚介系も入れ、かつおだしにほどよい食感の根菜類をトッピングしたバランスのいい一皿です。鱒や豚の飼育に恵まれた富士宮ならではの進化系「のしこみ」も誕生しそうな気配です。

※写真は全て2018年4月の取材のときのものです