小麦の栄養と機能

小麦の部位

胚乳

小麦粒の約83%を占めており、この部分が小麦粉になります。 主成分は糖質(でんぷん)とたんぱく質です。

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糖質は、身体に欠かせない主要なエネルギー源です。糖質には、ブドウ糖や果糖といった単糖類、単糖が2個つながったショ糖、乳糖、麦芽糖などの二糖類、単糖が3~10個程度つながったオリゴ糖、10個以上つながった多糖類があります。小麦粉の糖質であるでんぷんは、多糖類です。二糖類以上の糖質は、消化器官で分解されて単糖類になり、全身で使われます。特に脳のエネルギー源のほとんどは単糖類であるブドウ糖で、糖質は生きていくうえで欠かせない栄養素です。 たんぱく質は、筋肉や皮膚など身体を構成する重要な栄養素です。たんぱく質には、「動物性たんぱく質」と「植物性たんぱく質」があり、小麦のたんぱく質は「植物性たんぱく質」になります。たんぱく質は、体内で消化されてアミノ酸になり、小腸で吸収され、肝臓に運ばれて身体を構成しているたんぱく質に合成されます。

表皮(小麦ブラン)

小麦粒の約15%を占めており、「ふすま(ブラン)」と呼ばれています。食物繊維、ビタミン、ミネラルを含んでいます。

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小麦ブラン(ふすま)は、日本人が不足しがちな食物繊維、亜鉛、鉄分、マグネシウムを多く含む素材として注目され、パンやクッキー、シリアルなどに多く使われています。
小麦ブランには、水に溶けない不溶性の食物繊維、主に、「セルロース」と「ヘミセルロース」という種類が豊富に含まれています。これらの食物繊維は、水分をたくさん吸収して便のカサを増し、やわらかくすることで便をスムーズに排出させる働きを持っています。
また、小麦全粒粉は、小麦粒を丸ごと粉にしたものなので、小麦ブランも含んでおり、通常の小麦粉よりも食物繊維が約4倍、亜鉛は約3.8倍、鉄分が約3.4倍、マグネシウムは約6倍多く含まれています。

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より算出

胚芽

やがて芽となって成長する部分で、そのため必要なたんぱく質、脂質、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6などの各種ビタミン・ミネラルを含んでいます。分離、精製して栄養補助食品等に使われます。

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小麦粒から分離された小麦胚芽は、焙焼などの加熱をして食品や栄養補助食品として使われています。小麦胚芽は、約32%のたんぱく質、約14%の食物繊維を含み、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、ビタミンEを多く含んでいます。
小麦胚芽はまさに「小麦の生命源」であり、重要な栄養成分が集中しています。

たんぱく質32.0g
食物繊維総量14.3g
カルシウム42mg
マグネシウム310mg
9.4mg
亜鉛16.0mg
α-トコフェロール
(ビタミンE)
28.0mg
ビタミンB11.82mg
ビタミンB20.71mg
ナイアシン4.2mg
ビタミンB61.24mg

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より
(100g当たり)

胚芽油

胚芽から抽出される有効成分で、1トンの小麦から100g生まれる貴重な植物油です。ビタミンEのほか、リノール酸や植物ステロールなどを含んでいます。カプセル状にした栄養補助食品等に使われています。

小麦の健康成分

小麦アルブミン

小麦中の水溶性たんぱく質です。小麦アルブミンの中でも、電気泳動という分析方法で成分を分け、0.19の位置にピークがあるものを「0.19小麦アルブミン」と呼びます。この0.19小麦アルブミンは、食事と一緒に摂取すると、食後の急激な血糖値の上昇を抑えることがわかっています。

小麦グルテン加水分解物(グルタミンペプチド)

小麦の不溶性たんぱく質であるグルテンを酵素的に加水分解した食用ペプチドです。筋損傷抑制効果、NK細胞活性上昇、血圧調節、慢性肝炎の軽減、免疫機能の向上などの働きがあることが明らかになっています。

小麦タンパク加水分解物の血圧低下作用について

小麦ポリフェノール

小麦の表皮(小麦ブラン)の部分に多く含まれている物質で、水に不溶性のポリフェノールです。小麦ポリフェノールには、動物に摂取させたときに、活動リズムの改善効果や、肥満、耐糖能異常の抑制効果があることを発見しました。

共同研究の成果(小麦ポリフェノールの肥満抑制効果)について