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  • 2005年2月17日 胃の酸性領域に存在するヘリコバクター・ピロリ菌がウレアーゼを接着因子としていることを発見〜IgYと乳たんぱく由来物質(FP-10)の接着阻害効果を実験で証明〜

胃の酸性領域に存在するヘリコバクター・ピロリ菌が
ウレアーゼを接着因子としていることを発見
〜IgYと乳たんぱく由来物質(FP-10)の接着阻害効果を実験で証明〜

日清製粉グループの日清ファルマ株式会社(本社:東京都千代田区 社長:中村 勝)と株式会社ゲン・コーポレーション(本社:岐阜県岐阜市 代表取締役:渡邉 周治)の共同研究グループは、胃潰瘍の原因菌と言われるヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)が、胃の酸性領域に存在する際に、菌体表面に存在する「ウレアーゼ」を接着因子としていることを発見いたしました。

ウレアーゼ」とは生物界に広く存在する酵素の一種で、これまでに胃酸を中和する機能を持つことが解明されておりましたが、ピロリ菌の接着因子としての機能は新しい発見です。これまで、経口的に侵入したピロリ菌が、胃の粘液に接着し定着していくメカニズムは明らかにされておらず、今回の発見によりその一端が解明されました。

この接着因子の解明を基に、ゲン・コーポレーションが鶏卵抗体技術を用いて鶏卵抗体(以下IgY *)「オーバルゲン®」を開発し、日清ファルマが乳たんぱく由来物質(FP-10)を開発いたしました。これら両素材(IgYとFP-10)は、ピロリ菌のウレアーゼと反応することで、ピロリ菌の胃内での接着を阻害し、胃内のピロリ菌の増殖を抑制することが、動物やヒトの試験において示されました。

IgYについては、既に実用化され、韓国ではヨーグルトが発売され、日本においてもヨーグルトや健康食品が発売されております。乳たんぱく由来物質(FP-10)は、発売準備中であります。これら両素材は、高い安全性と機能性を有しており、今後、食品への幅広い応用が期待されています。

なお今回の発見は、ピロリ菌研究の権威である自治医科大学医学部の平井義一教授に高く評価されております。同教授は、2月18日(金)と19日(土)に大分県別府市で開催される、「第4回韓日ヘリコバクター合同会議」において、ピロリ菌に対する抗生物質治療以外の処置をテーマに講演します。この中で、ウレアーゼがピロリ菌の接着因子の一つとして機能していることを紹介し、IgYと乳たんぱく由来物質(FP-10)が接着阻害効果を持つという実験結果が出たことを報告いたします。

日本を含むアジア地域において高い感染率を持つピロリ菌の接着メカニズムは、その予防やコントロールにおいて重要な要因であることから、その解明が期待されております。接着メカニズムのさらなる解明を目的に、今夏「第11回日本ヘリコバクター学会」(6月30日から7月2日に岡山にて開催)が開催され、その中でシンポジウム「接着と接着阻害〜新しい視点から〜」と市民公開講座「消化管感染症の診断・治療・予防;新しい視点から〜」が予定されております。

尚、乳たんぱく由来物質(FP-10)が接着阻害効果を持つという結果はピロリ菌研究の国際専門誌であるHelicobacter誌にて発表しております。

日清ファルマとゲン・コーポレーションは、科学的根拠に基づいた安全な機能性食品素材を開発し、皆様の健康な生活にお役立て戴けるよう、これからも努めていく所存です。

* 鶏卵抗体(IgY)とは・・・鶏は、体内に持つ抗体を卵黄へ移行させることで、次世代へ免疫を与えております。この母子免疫システムを利用し、鶏にターゲットとなる抗原を与え、抗体を鶏の体内で作らせることにより、ターゲットに対する抗体を卵へ移行させる技術を鶏卵抗体技術と呼んでおり、また、抗体が卵黄へ移行することから、これをImmunogloblin Yolk(IgY)と呼んでおります。

日清ファルマ株式会社

本社所在地: 〒101-8441 東京都千代田区神田錦町1丁目25番地
資本金: 25億5,000万円
代表者: 中村 勝
従業員数: 220名
事業内容: 健康食品等の研究開発及び製造販売

株式会社ゲン・コーポレーション

本社所在地: 〒501-1101 岐阜市折立296番地1
資本金: 4億2,516万円
代表者: 渡邉 周治
従業員数: 277名
事業内容: 種鶏・種卵の生産販売、鶏の病性鑑定、
IgY製品の製造販売、動物用ワクチンの製造販売、
飼料用トウモロコシ種子の製造販売