順天堂大学と共同で、筋組織障害抑制効果を検証

日清製粉グループの日清ファルマ株式会社(社長:中村勝)は、スポーツ健康医科学に関して優れた研究実績を有する順天堂大学スポーツ健康科学部と共同研究を行い、小麦グルテン加水分解物(Wheat Gluten Hydrolysate。以下WGH)の摂取がハーフマラソン後の筋損傷の回復に有効であることを確認いたしました。
 この研究成果は、9月24日(日)から26日(火)まで神戸大学で開催された第61回日本体力医学会大会にて、順天堂大学スポーツ健康科学部の鯉川なつえ講師により発表されました。また澤木啓祐教授によるランチョンセミナー『スポーツ医科学的データに基づく長距離ランナーに観る記録の向上と科学的アプローチ』でも紹介されました。

また日本体力医学会大会に先駆け、9月20日(月)からWebサイト「WGH.jp」(URL:http://www.wgh.jp)を開設し、WGHに関して大学との共同研究で得られた研究成果など様々な情報の提供を行っております。

WGHは、アミノ酸の一種であるグルタミンを豊富に含む小麦グルテンを酵素分解したペプチドです。グルタミンには、筋肉のタンパクに対して合成促進と分解抑制の効果があります。本来、体内で合成されるアミノ酸ですが、激しい運動などの際には不足しがちになり、サプリメントなどで補給するのが望ましいとされています(※)。

当社では、小麦の主要タンパクでグルタミンを豊富に含む小麦グルテンに着目し、15年以上にわたる研究開発を重ね、2000年にはWGHを食品用グルタミン強化素材として国内で初めて開発しました。また近年、研究を進めた結果、WGHにはグルタミン源としてだけでなく、WGHに固有の生理機能があることが次第に明らかとなってきています。

※グルタミンは、生体内でも合成されますが、激しい運動や外科手術等の際には血中レベルが維持できず、補給するのが望ましいことから、Conditionally Essential Amino Acid とされています。

この件に関するお問い合わせ先 日清ファルマ株式会社 マーケティング部 担当:鈴木良雄 東京都千代田区神田錦町1-25 電話03-5282-6535



<Webサイト「wgh.jp」概要>

URL : http://www.wgh.jp
開設日: 2006年9月20日(月)
内容  : 小麦グルテン加水分解物(WGH)に関する各種情報の提供


<順天堂大学との共同研究概要>

◆研究の目的
CPK(クレアチンフォスフォキナーゼ)は骨格筋や心筋に多く存在する酵素で、これらの組織に異常があると血中に出てくるので筋損傷の指標とされています。運動負荷後は、通常24〜48時間後をピークに血中のCPK値が急上昇し、3〜4日程度で回復することが知られています。本研究では、走運動負荷後にWGH(10gあるいは20g)を投与し、24時間後、48時間後の筋組織障害抑制効果を血中のCPK値により評価することを目的としました。

◆方法
長距離を専門とする男子学生ランナー30名を対象に、ハーフマラソンレース1時間後にWGHを0(非投与)、10、20g投与し、前日、レース後(WGH摂取前)、レース24時間後、48時間後において血液検査を実施しました。

◆結果
1.レース前及びレース1時間後のCPK値は、各群間で差はみとめられなかった。
2.レース24時間後のCPK値は、20g投与群において有意に低下した
3.レース48時間後のCPK値は、他の群に比べ20g投与群において低下傾向がみられた

これらの結果から、ハーフマラソン後に20gのWGHを投与したことで、血中へのCPKの逸脱が有意に抑制されたと考えられ、運動に起因する筋組織障害を抑制する作用があることが示唆されました。

 <順天堂大学・澤木教授プロフィール>

学生時代に五千、一万メートルなど7種目において日本記録を樹立・更新。また箱根駅伝2区で区間新をマークし初優勝に貢献。メキシコ、ミュンヘン五輪出場。ソウル(コーチ)、アテネ(監督)では指導者としてチームを牽引。順天堂大学陸上競技部監督として箱根駅伝に9度優勝。順天堂大学理事、日本陸上競技連盟強化委員長(理事)等を兼任。科学的トレーニングのパイオニアであり、最近では全日本女子バレーボールチームのトレーニングアドバイザーを務めるなど、陸上競技以外の分野でも活躍中。主な著書:『練習法百科陸上競技』『ランニングに強くなる本』『マラソン』『マラソントレーニング』ほか多数