日清製粉グループは、創業120周年となる2020年を見据えた長期的な視点に立ち、2012年度から2014年度までの3ヵ年を対象とする中期経営計画「(※)NNI-120 スピードと成長、拡大」を策定しました。
当社グループの事業の基礎となる日本国内は、既に人口減少期に入り、今後も少子高齢化が更に進む見込みであるため、消費市場として規模の拡大は望めない状況にあります。当社を取り巻く事業環境は、長期に亘っているデフレ環境に加え、昨年の東日本大震災に伴い電力の安定供給に不安が生じ、更には電力コストの増加が見込まれる等、一段と厳しいものとなっております。また、世界経済が不透明な状況である中、TPP・EPA等の国際交渉の動きは急速に広がりを見せており、グローバル化の進展は一層加速することが想定されます。
このような中で、当社グループは、新たな中期経営計画を策定し、近い将来グループ売上高1兆円、海外売上高比率30%以上を達成することを目指して骨太でイノベーティブな集団として絶え間なく変革を続け、成長と拡大を遂げて行きます。
本中期経営計画においては、トップライン(売上高)の拡大と海外事業拡大を最優先戦略と位置付け、その実現に向けて社内組織を整備・強化し、M&A・アライアンスを積極的に行います。また、いかなる環境においても勝ち残ることができるよう、輸入品に対抗できるコスト競争力の確保・強化と安全・安心な製品の生産・供給を両立させてまいります。
これらのグループ基本戦略に基づき策定したグループ各社の個別戦略をスピード感を持って実行し、成長、拡大を遂げて行くことで、当社グループは、これからもお客様をはじめとしたステークホルダーの皆様に積極的に支持される企業グループであり続けることを目指してまいります。
※NNI:New Nisshin Innovation
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2020年を見据え当社グループが目指すビジョン |
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2020年に向けた旗印 |
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当社グループの行動計画((※)NI活動)の基本理念である、「企業は変革することによってのみ生存し、発展できる」「骨太でイノベーティブな集団に成長する」は、今の時代にこそ求められており、これを改めて当社グループの旗印として掲げます。
※NI活動は、当社グループが1987年から2001年にかけて取り組んだ経営計画(行動計画)で、当社グループの成長の道筋をつけるとともに、その変革と実行の精神は現在も受け継がれています。 |
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これに加えて、「スピード」と「成長、拡大」を2020年に向けた当社グループの新たな旗印とし、新たなNI(NNI)活動として取り組んで行きます。 |
<数値目標>
近い将来を見据え、グループとして以下の数値目標の達成を目指します。
- 売上高1兆円を達成する。
- 売上高1兆円達成時
営業利益500億円、海外売上高比率30%以上、ROE8%以上
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(2) |
ビジョン達成の基盤 |
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当社グループはビジョン達成の基盤として、将来に向け以下を実践していきます。 |
- 法令遵守、食品安全、環境保全等の社会的責任を果たす。
- 国民の主要食糧である小麦粉等の安定供給を確保し、安全な製品を供給する。
- 社員が当社グループの社員であることに誇りを持ち、自信を持って仕事に取り組んで行く会社を目指す。
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2. |
中期経営計画(2012年度〜2014年度) |
(1) |
数値目標 |
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2011年度見込み |
2014年度計画 |
売上高 |
4,460億円 |
6,000億円 |
海外売上高比率 |
5% |
14% |
営業利益 |
236億円 |
300億円 |
ROE |
4.9% |
6.7% |
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(2) |
各事業の具体的戦略 |
1) |
製粉事業 |
製粉事業においては、お客様の満足度世界一を目標として「世界一の製粉会社」を目指します。国内において、早期に小麦粉販売シェアを40%まで高めるよう拡販施策を推進し、また、製粉他社とのアライアンスにも取り組み、市場におけるプレゼンスを高めます。
一方、コスト面に関しては、ボーダレス市場で勝ち抜けるコスト競争力を確保するため、福岡新工場を建設(2014年春稼働)し、更に海外を含めた工場立地の最適配置を検討・実施します。また、当社の強みであり、メーカーの基本である自立した強い現場力を引き続き育成・強化します。 |
2) |
食品事業 |
加工食品事業においては、ブランド認知度の向上を図るとともに、新製品開発力を強化し、トップブランド戦略を更に進めて行きます。中食・惣菜事業を主力事業に育てるべくM&A・アライアンスを積極的に推進し、また、冷凍食品についてはラインナップ強化等により事業拡大を図り、グループの成長を牽引します。
酵母・バイオ事業においては、ベーカリー市場での更なるシェアアップに加え、ベーカリー関連以外の市場での販路開拓及び更なる深耕に取り組みます。また、本年2月に稼働した富里新工場を拠点として、総菜事業の拡大に注力します。一方、バイオビジネスを主力事業に育てるべく、既存ビジネスを成長させるとともに、M&A・アライアンスを積極的に推進します。
健康食品事業においては、消費者向け商品の販路を強化する等拡販に注力します。 |
3) |
その他事業 |
ペットフード事業においては、「プレミアムペットフードメーカー」の実現を目指し特徴ある商品の開発と積極的な市場導入を進めます。
エンジニアリング事業においては、ホソカワミクロン株式会社との連携による売上拡大を図るとともに、得意とする粉粒体ハンドリングに新たなコアテクノロジーを加え事業拡大を図ります。
メッシュクロス事業においては、環境・快適・メディカル等の成長分野で事業展開を促進し、事業規模の拡大を目指します。 |
4) |
海外事業の拡大 |
当社グループは、海外売上高比率30%以上を目指し、新規海外事業の拡大に最優先で注力します。対象事業は製粉、ミックス、ベーカリー関連ビジネスを中心とし、東南アジア、中国、北米に優先的に取り組みます。そのために、M&A、アライアンスをスピーディーに実行できる社内組織を整備・強化し、必要な人員を重点的に配置します。M&A、アライアンスの決定に際しては、客観的な調査・分析を十分行った上で、一定のリスクを積極的にとりに行く覚悟を持って決断します。 |
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(3) |
財務戦略 |
成長、拡大に向けた重点分野への積極的な戦略投資を可能にするよう資産の徹底的な圧縮によりスリムなバランスシートを実現し、戦略投資資金を捻出します。
また、株主から積極的に評価されるよう、現在及び将来の収益状況を勘案した上で、配当性向30%以上を基準として配当を継続的に行うことに加え、自己株式取得等の株主還元施策を機動的に実施します。 |
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3. |
中期経営計画の策定・実行における基盤 |
当社は、以下を基盤として中期計画を策定・実行して行きます。
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法令順守、食品安全、環境保全等の社会的責任を果たし、ステークホルダーから積極的に支持される企業グループであり続ける。 |
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主要食糧である小麦粉等の安定供給を確保し、安全な製品を供給するという当社グループの社会的使命を果たす。 |
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社員一人ひとりが当社グループの社員であることに誇りを持ち、自信を持って仕事に取り組んでいく会社を目指す。 |
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