もぐもぐ会議 第3回 沖知子さん もぐもぐ会議 第3回 沖知子さん

パンラボ池田浩明が毎回ゲストをお迎えし、お気に入りのパンを“もぐもぐ”しながら、パンについて語る座談会。
第3回目は、体の中からもうつくしさを追求するヨガのスペシャリスト・沖知子さんが登場! 呼吸によって心身をコントロールするヨガの世界が、まさかパンを美味しく食すことに繋がっていたとは…。みなさんもまずはふぅっと一呼吸。”美味しい”を体全体で感じられるようになれるかも。

沖知子さん

沖知子さん

モットーは「健康第一、一生笑顔」。2007年にヨガと出会いYOGA歴12年。
2014年に資格取得後、呼吸と動きを連動させたフローヨガをメインとしたフリーのインストラクターとして活動。多くの企業向けヨガを担当する。
2016年にはMissWORLD JAPANファイナリストに選抜され、初代「ミス・ヨガ」を受賞。その後、ファッションの祭典神戸コレクション出場、ヨガポーズモデルとして様々な書籍・雑誌に抜擢される。
また、イタリアミラノでのヨガレッスンや世界遺産「金峯山寺」にて寺ヨガを大成功させるなど、国内外問わず多くの実績を積む。
2017年から株式会社ブレストラン、代表取締役を務める。
同年、健康の大切さを伝えるため、日本の地上波では初のヨガ番組「GINZA YOGA」の監修と出演を担うなど多岐にわたり活躍中。

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ヨガの基本! 脳を休息させる呼吸法

池田浩明池田浩明 池田浩明

僕、体がかたすぎるから、ヨガなんて絶対向いてない、と思ってるんです。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

そう思う人は非常に多くて。でも、誰でもできます。

池田浩明池田浩明 池田浩明

最近、疲れ気味なんですが、そういうときってヨガはいいんですか?

沖さん 沖知子さん沖知子さん

ヨガは、スポーツとちがって、疲労がないです。気分がすっきりしたり、体調が整います。私がいまやってるのは、オフィスで座りながらやりましょうというヨガです。ヨガマット敷いたりする必要はありません。

池田浩明池田浩明 池田浩明

そうなんですか!ポーズとかしないんですか?

沖さん 沖知子さん沖知子さん

ポーズって、体を伸ばすためにやってるんですね。それだけではなく、大事なのは気や循環。滞ってる循環をしっかり整え、最終的には心にアプローチします。私が注目しているのは呼吸です。

池田浩明池田浩明 池田浩明

そんなに呼吸大事なんですか?

沖さん 沖知子さん沖知子さん

はい。呼吸と心は一緒なんですね。怒っているとき、焦っているとき、荒い速い呼吸になるし。リラックスしているとき、おだやかな深い呼吸になる。でも、呼吸は自分で意識的にコントロールできます。ちょっと深くすると、非常に整いますね。いまの人は呼吸が浅いといわれてます。1 分間に 15 回がいいとされますが、18 ~ 20 回の人が多いんです。ストレスがあったり、スピードを求められたり、情報中毒。そういう環境なので、実は息がきちんとできていない。呼吸が浅いと単純に酸素不足になります。どこにダメージくるかというと、脳なんです。酸素消費量がいちばん多いですから。酸素不足だと、いい頭の回転できないじゃないですか。

池田浩明池田浩明 池田浩明

呼吸を深くすると、頭が冴える。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

そうなんです。呼吸法は脳の休憩時間。呼吸を意識すると、脳の休憩になる。みんな脳がフル回転しすぎなんです。

池田浩明池田浩明 池田浩明

呼吸を深くするためには…。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

吐くのがすごく大事。呼吸が浅い人は吸えないんじゃなくて吐けてないんです。

池田浩明池田浩明 池田浩明

いますぐできる呼吸法ってあります?

沖さん 沖知子さん沖知子さん

カパラバティという呼吸法があります。一緒にやってみましょうか。
カパラバティ呼吸法: 両鼻から深く息を吸い込んで下腹部を膨らませ、吐くことに意識を集中させるのがポイント。リラックス効果のある呼吸法です。 ※カパラバティに関する詳しいやり方は、以下を参考にしてください。https://www.youtube.com/watch?v=1xObBELBCGE

池田浩明池田浩明 池田浩明

これいいですね! 脳がすっきりしました。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

頭が無になる感じはわかりました?

池田浩明池田浩明 池田浩明

そういえばなんにも考えてなかった。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

なにも考えない状態が脳の休息につながります。

パンがおいしくなるヨガ

池田浩明池田浩明 池田浩明

パンがおいしくなるヨガないですか?

沖さん 沖知子さん沖知子さん

食べる瞑想ってあるんです。一点に集中することを訓練する。パンでもよくて、1個食べるのにすごく時間をかけたり、まるではじめて見たもののように観察する。五感を使います。まずは視覚、嗅覚、触覚、聴覚。口に入れて、味覚…。「食べる」という行為を通して、今自分に起きている感覚をしっかりと感じ取ること。これが「100%今ここに集中している状態」であり、瞑想の訓練方法の一つです。ポイントは「味あわないこと」。味の評価をするのではなく、あくまで今自分に起きていることに目を向けるとこです。結果的に、食べ過ぎ防止にも繋がってきますから、ダイエット効果も♪

池田浩明池田浩明 池田浩明

え?それいつもやってるんですけど(笑)。パンのテイスティングにもメソッドがありまして。まず見る。焼き色やふくらみ方。触るとテクスチャがわかるし、重量感もそれぞれ異なります。深呼吸して匂いを嗅いで。それから切って。ナイフに伝わる手応えもあります。切ってみると、内側は外側とちがいます。気泡の様子や色を見て、匂いを嗅いで、それから食べる。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

まさにそれです。テイスティングって、瞑想に似ていますね。笑

池田浩明池田浩明 池田浩明

瞑想は集中することなんですか?

沖さん 沖知子さん沖知子さん

集中の先にあります。まず集中して、その場をリアルにキャッチする。その先に瞑想があるので。

池田浩明池田浩明 池田浩明

その先が知りたいですね。僕もときどきパンを食べているときに、ものすごい幸福感や自然との一体感を感じたり、『小麦よありがとう』と思ったり。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

感謝や一体感が生まれたり、そこまでの感情が芽生えてきたら、集中よりもっと先に行っている状態。おいしいおいしくないのジャッジじゃないんですよね。ヨガをやってると幸福感を私も感じますね。なんだかわからないけど涙が出てきた、という人もいます。

池田浩明池田浩明 池田浩明

ヨガってダイエットのためにやる方が多いと思うんですけど、それはありですか?

沖さん 沖知子さん沖知子さん

やせるというのは私の中ではないけど、きれいには絶対になりますね。

心と体で小麦粉を味わう

池田浩明池田浩明 池田浩明

今日、持ってきていただいたのは。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

ムーンスコーンといってマクロビのスコーン。日比谷や汐留などに店舗があるチャヤマクロビというお店のです。私はマクロビのアンバサダーをしていて。マクロビは精製してないものを基本とするので、全粒粉を使っているものとかを選ぶようにしています。

池田浩明池田浩明 池田浩明

このスコーンは、ナッツがいっぱい入っているし、コクがあるので、バターなど動物性のものを使ってなくても、物足りない感は全然ないですね。普段からマクロビを心がけているんですか?

沖さん 沖知子さん沖知子さん

はい。ごはんを玄米にしたり、フルーツをまるごと食べたり。

池田浩明池田浩明 池田浩明

フルーツは皮がうまかったりしますからね。小麦も皮がうまいんですよ。皮がいちばん香りがあるし。ふわふわしたパンを作るときの白い粉より、皮まで挽いている全粒粉のほうが、ミネラルや食物繊維が豊富に含まれています。僕はすごくパンを食べるからつい偏りがちなので、全粒粉のパンや、根菜を摂ると、体の調子もよくなるし、お通じもよくなったり。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

やっぱりバランスが大事なんですね。いま炭水化物ダイエットが流行っていますが、炭水化物をまるっと抜いちゃうと食物繊維が取れなくなっちゃうんですよ。野菜の食物繊維だけじゃなく、穀物性の食物繊維も必要です。それを取らないと便の通じが悪くなり、腸が汚れちゃうんですよ。大腸ガンの原因にもなるし。だから私はパンとごはんをちゃんと食べるようにしています。

池田浩明池田浩明 池田浩明

小麦はすごく偉大な植物だと思っていて。人間の考えを超えた知恵がある。人間はすごく単純で、太るからやめちゃおうとか。でも、人間の考えが及ばないところって絶対ある。まるごと食べたほうがいいと思うんですよ。まるごとのなかに人間の気づいていない大事なものがある。心も体も整えてくれるものがある。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

ヨガの考え方もいっしょですよ。パンもそうなんだ。

今日の議題「パンをうつくしく食べる」

池田浩明池田浩明 池田浩明

今日の議題「パンをうつくしく食べる」。結論にいきたいと思うんですが。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

感謝していただくことかな。うつくしさは外見というより、内面からにじみでるもの。ハッピーだったり、健康だったり、そういうことがうつくしさにつながる。やせててがりがりではうつくしいと思ってもらえない。私もミスワールドに出たことがあるんですけど、なにを評価されるかというと、外見や美はもちろん、行動や発言なんですよね。常に感謝をしてたり、気持ちの部分がすごく大事だし、うつくしい食べ方にもつながると思います。いやいや食べるんじゃなくて、おいしくいただくというのがうつくしい食べ方なのかな。みんなやせることばかりにいっているけど、本質的な、自分の幸福ってそうじゃないかもしれないから。

池田浩明池田浩明 池田浩明

心のうつくしさって、感謝することがいちばん大事ですよね。パンって1個1個手作りのもの。作っている人がいることがわかると、自然と感謝するし、味わおうと思うし、もっと知ろうと思う。作るっていうのは、パン職人もそうだし、自然でいえば大地もそうだし、農家さん、製粉会社さん。そういうことも感じたい。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

自分一人では生きられない、支えあっていきている。パンを作るのに何人、何万という人が関わっている。

池田浩明池田浩明 池田浩明

パンってたくさんの人が関わらないとできないんですよ。にんじんだったら、土から掘り出して、食べるだけでいいので、一人で完結できる。小麦は製粉しないといけない。何千年と築き上げてきた英知なので。最初に製粉する仕方を考えた人、すごいテクノロジー。そういう人たちまで感謝ってなったら、もうものすごい数。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

それを感じながら食べられるのはうつくしいですよね。

池田浩明池田浩明 池田浩明

食事をもっとおいしく食べられるようにヨガやってみます。仕事に煮詰まったとき、緊張感、ストレスを感じてるとき。

沖さん 沖知子さん沖知子さん

調べるとやり方は出てくると思うので、自分のやりやすいやり方でやってみてください。

おいしさをより感じられるようリラックス効果が期待できるヨガの呼吸法を実践中。

今回の対談で試食したパン

  • 日比谷 チャヤマクロビ
  • 六本木 ブリコラージュブレッド
  • 広尾 ザ・シティ・ベーカリー
  • 銀座 に志かわ
  • 芝公園 ル・パン・コティディアン
  • 青山 セントル・ザ・ベーカリー

池田浩明さんプロフィール

池田浩明

池田浩明

パンラボ主宰、ブレッドギーク(パンおたく)。東においしいパン屋があると聞けば行ってパンを食べ、西にすごいパン職人がいると聞けばその声に耳を傾け、南に偉大な小麦農家ありと聞けば、土を掘り返し、小麦をむしゃむしゃ頬張る。

著書に『サッカロマイセスセレビシエ』『食パンをもっとおいしくする99の魔法』『空想サンドウィッチュリー』『パンの漫画2 さすらいのクロックムッシュ氏編』(以上、すべてガイドワークス刊)、『パンソロジー』(平凡社)、編著に『パンの雑誌』(ガイドワークス刊)、『おかしなパン』(誠文堂新光社)、『日本全国 このパンがすごい!』(朝日新聞出版)。

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