小麦を含む穀物には、「食物繊維」が含まれています。食物繊維は整腸作用などからだの中で有用な働きをすることから、第6の栄養素とも言われています。今回は、メタボリックシンドローム注)予防にも役立つことが期待される「穀物の食物繊維」についてお届けします。
注)メタボリックシンドローム
内臓脂肪の蓄積があり、かつ血圧、血糖、血清脂質のうち2つ以上が基準値から外れている状態を指します。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日あたりの「目標量」は、18~64歳で男性21g以上、女性18g以上です。
日本人男女の1日あたりの
日本人の食物繊維の平均摂取量は、1955年には1日あたり20gを超えていましたが、現在は1日平均約15gしか摂取されていません。もっと摂取量を増やす必要があります。
食物繊維というと、繊維質のごぼうやれんこんに多いイメージかもしれませんね。
主食である「穀物」からも食物繊維を摂れますが、時代の変化とともに食物繊維が豊富な玄米や大麦が入った麦ごはんより精白米が好まれるようになり、穀物からとれる食物繊維は少なくなってきています。
ひとくちに食物繊維といっても、その種類はさまざまです。食物繊維は大きく「水に溶けるもの」と「水に溶けないもの」にわけられます。
一般的に穀物の食物繊維は水に溶けない「不溶性食物繊維」が多く、便秘の予防をはじめとする整腸作用があります。さらに、最近の研究では、不溶性食物繊維を豊富に有する穀物(特に全粒穀物)をとり続けると、肥満や糖尿病になりにくいことが報告されています1)。
日常的に食物繊維をたくさんとるためには、毎日食べる主食の穀物から食物繊維をしっかりとることが重要です。小麦の全粒粉は食物繊維が豊富であり、最近注目されている食品のひとつ。全粒粉とはその名の通り、通常小麦粉では取り除かれてしまう小麦の表皮と胚芽もふくめ、小麦粒を全て砕いて粉にしたものです。
全粒粉には、なんと玄米の約4倍の不溶性食物繊維が含まれています。
全粒粉を主食に取り入れることで、毎日手軽にしっかりと、食物繊維をとることができますね。
全粒粉入りのパンを主食として12週間食べ続けると、通常の小麦粉のパンを食べた時より内臓脂肪面積が低減したというデータも得られています2)。
全粒粉をとることで、メタボ予防につながることが期待できます。
※以上の内容は製品による研究結果ではありません
大妻女子大学家政学部食物学科 教授
青江誠一郎
ほんとうに「食物繊維」
とれていますか?