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2023.04.21 Fri

歩きのプロ直伝 今日からはじめるウォーキング ②(全2回)

ただ歩くだけじゃダメ!?正しく長く続けるために

「歩くこと」はメリットがたくさん!では、ウォーキングによる心身へのさまざまなメリットについて解説しました。今回は、それらの効果を高めるための3ステップについてご紹介します。

「歩くこと」はメリットがたくさん!では、ウォーキングによる心身へのさまざまなメリットについて解説しました。今回は、それらの効果を高めるための3ステップについてご紹介します。

STEP① 正しい歩き方をマスターする

気軽にはじめられて、健康づくりを後押ししてくれるウォーキング。ですが、ただ何となく歩くだけでは十分な効果にはつながりません。フォームや呼吸など、意識するポイントを挙げてみました。

【1】姿勢背筋を伸ばし、お尻とお腹に力を入れて骨盤を立てます。頭が上に引っ張られているイメージで、横から見て、耳、肩、ひざ、くるぶしが一直線になるように意識しましょう。あごを軽く引き、目線は足元ではなく10mぐらい先を見るようにします。

【2】歩幅普段よりも歩幅を広げて歩くことを意識しましょう。目安は「身長-100cm」。歩幅を広くすると自然に歩行スピードが上がり、運動効果が高まります。歩幅とは、「つま先からつま先までの長さ」です。10歩歩いた距離を測って10で割ると、おおよその自分の歩幅を知ることができます。

【3】腕の振り軽く握りこぶしをつくり、両ひじを90度に曲げて、足の動きに合わせてテンポ良く動かします。このとき、腕を前に振るのではなく、後ろに大きく引くイメージで振るのがポイント。腕と連動して肩甲骨が動き、足だけでなく上半身の筋肉も使うことで脂肪燃焼効果が高まります。また、腕振りがしっかりできると、呼吸もよりスムーズになります。

【4】着地の際の重心移動かかとから着地したら、足裏の外側で地面を捉えて重心をつま先方向へ移動させ、親指でグッと地面を蹴り上げて次の一歩を踏み出します。重心移動が正しくできれば、長く歩き続けても疲れにくくなり、ケガの予防にもつながります。

【5】呼吸最初は足の動きに合わせて自然に呼吸をすればOK。慣れてきたら、丹田(おへその下のあたり)をキュッと締めながら呼吸を意識してみましょう。そうすることで、体幹を使った“運動効果の高い歩き方”になります。

STEP② 歩く前、歩いた後の正しいケアを知る

ウォーミングアップ歩く前には、ストレッチなどでウォーミングアップを。筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域を広げておくことは、運動効果を高めるだけでなく、ケガの予防にもなります。

  • 手首、足首を回す
  • 股関節を回す
  • アキレス腱を伸ばす
  • 腰回りの筋肉を伸ばす
  • 骨盤を回す
  • 肩を回す

トータルで2~3分を目安に、全身をほぐしたらスタート!

クールダウンウォーキングを終えた後は、疲労の蓄積を防ぐために、筋肉のハリや疲れを感じた部位を中心にストレッチを行いましょう。お風呂上がりなどに、足裏を指で押してマッサージをするのもおすすめです。

歩く距離は?ペースは?距離としては、慣れるまでは1日3km、慣れてきたら1日6kmを目安に歩きましょう。ペースは、1kmあたり10~12分を目安に、無理なく行えて少しきついと感じるレベルで行いましょう。とはいえ、楽しめなければ続かないので、ストイックに頑張り過ぎないで。立ち止まって写真を撮ってもいいし、気になるお店を見つけたら寄り道しても構いません。

歩く時間帯はいつが良い?朝のウォーキングは脂肪燃焼効果が上がりやすい、夕方のウォーキングは睡眠の質を高める効果が期待できるなど、時間帯によって得やすい効果は異なります。とはいえ、忙しい日常の中で毎日決まった時間にウォーキングをするのは難しいもの。時間帯にこだわらず、その日その日で都合のつくタイミングで行う方が続けやすいでしょう。ただし、寝る直前に激しい運動を行うと交感神経が活性化し、寝つきに影響するので、夜に歩く場合は就寝2時間前には終わらせましょう。

ウォーキングシューズは?ウェアは?快適かつ安全なウォーキングのために、シューズ選びはとても重要です。軽くて適度にクッション性があり、通気性が良く、足裏の重心移動がスムーズにできるようソールは柔らかめのものがおすすめ。また、ソールに溝があるとすべりにくいので雨の日でも安心です。ウェアは動きやすい服装なら何でもOKですが、吸汗速乾性の高い素材のものを選ぶと汗冷え防止に役立ちます。おしゃれなウェアでテンションを上げるのも、もちろんアリ!長距離を歩く場合には、1枚羽織るものがあると重宝します。

STEP③ 習慣化するためのプランを立てる

ウォーキングをはじめると、まず実感できるのは体を動かすことの爽快感です。また、「寝つきが良くなった」「朝までぐっすり眠れる」といった変化を感じる人も多いよう。ただし、体力や心肺機能の向上、ダイエット効果などを実感するまでには、ある程度の時間が必要です。さまざまな効果を得るためには「習慣化」が大きなポイントというわけです。

新しい習慣が定着するまでには、およそ4週間必要だといわれています。また、理想のウォーキングの頻度は、毎日30分以上、1時間程度です。しかし、最初から高過ぎる目標を立てると挫折しやすいため、まずは「1日あたり30分程度、週3日のウォーキングを4週間続ける」など継続しやすいプランを立てて、少しずつステップアップしていくと良いでしょう。「飽きてしまった」「時間がとれずに挫折してしまった」とならないよう、無理のない目標を立て、達成するためのプランを考えてみましょう。

体力アップ、ダイエット、ストレス発散など、いろいろな効果が期待できるウォーキング。姿勢や歩幅など、正しく歩くポイントを押さえて取り組めば、日に日に心と体が整うことを実感できるはず。背筋を伸ばしてさっそうと、今日から歩きはじめてみませんか。

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<監修>

勅使川原郁恵

元ショートトラックスピードスケート日本代表/オリンピアン/ヘルスケアスペシャリスト/一般社団法人ナチュラルボディバランス協会 代表理事