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2023.01.20 Fri

「なんとなく不調」を整える自律神経のお話 ②(全5回)

季節の変わり目はなぜ体調を崩しがち?気候と自律神経の密接な関係

雨が降ると頭が重くなったり、季節の変わり目に体調を崩したり、場合によっては持病が悪化してしまう方も。以前は「天気のせい」「年齢のせい」と考えられてきたこうした症状に、近年、自律神経が関係していることがわかってきました。

雨が降ると頭が重くなったり、季節の変わり目に体調を崩したり、場合によっては持病が悪化してしまう方も。以前は「天気のせい」「年齢のせい」と考えられてきたこうした症状に、近年、自律神経が関係していることがわかってきました。

空がどんより=元気が出ない...それ、「気象病」かも?!

「天気が悪いと体調が悪くなるなんて大げさ、気のせいでは?」と思われるかもしれませんが、実際に悩んでいる方は大勢います。天気の変化によって心身に不調をきたすことを「気象病」といい、近年、研究も進んでおり、特に女性に多く見られる傾向があるようです。

気象病は、気圧・気温・湿度などの変化によって自律神経が乱れることで発症すると考えられています。中でも気圧の影響が大きく、高気圧から低気圧へと変化する際に症状が出やすいそうです。

低気圧が近づく、つまり雨が降りそうだとわかると、気圧を感じるセンサー「内耳(耳の奥にある三半規管など体のバランスを保つ気管が集中する部分)」が察知し、脳に「大変だ!」と知らせます。内耳から報告を受けた脳は、体を安定させるために指令を出し、自律神経が体の各部分にその内容を伝えるのですが、その際、普段から自律神経が乱れがちだと混乱が生じ、痛みを感じる神経が刺激されたり、血管の収縮・拡張で周囲の神経が刺激されたりして、痛みやつらい症状が出ると考えられています。

急激に気圧が低下するゲリラ豪雨や台風が近づいている際に、特に片頭痛が起こりやすくなるのはこうした「内耳」の働きが関係しているのかもしれません。また、内耳のセンサーが過敏になると、少しの気圧の変化でも察知してしまうことがあります。昔から「古傷が痛むと雨が降る」などといいますが、気のせいとして済ませず、科学的な原因を疑ってみてもよいのではないでしょうか。

ではなぜ、冒頭に触れたように「気象病」と呼ばれる症状が女性に出やすいかというと、もともと生理周期の影響で自律神経が乱れやすくなっているところに、天候の影響を受けるためと考えられています。また、男女問わず、40歳を過ぎると副交感神経の機能が低下することも原因の1つ。「年齢のせい」とひとことで片付けられがちな慢性痛の悪化には、こうした背景があるようです。

自律神経を上手に操作!深い呼吸でリラックス

現代人は一般的に交感神経が優位で、呼吸が浅い傾向にあるといわれています。交感神経が活発、つまりアクセル全開で疲れた、休みたいと思ったときは、ブレーキの役割をする副交感神経のスイッチをオンにすることが大切。ゆっくりと深く呼吸することは、緊張を和らげて副交感神経の働きを正常に導いてくれます。以下でご紹介するストレッチをすると、肺を囲む肋骨まわりの筋肉や横隔膜の伸縮がスムーズとなることで、肺を大きく膨らませられるようになり、深い呼吸が自然にできるようになります。

呼吸を深くするストレッチ

  • ① 椅子に座って足を肩幅くらいに広げる。
  • ② 頭の後ろで手を組む。
  • ③ 両肩の肩甲骨を近づけるように腕を後ろに開いて体を反らせる。

※10回ほど行いましょう。

雨の日は早起きがおすすめ!その理由とは?

朝は本来、リラックスした副交感神経が優位な状態からアクティブな交感神経が働きはじめるように、上手にギアチェンジすることが大切。しかしながら雨の日は気圧が下がっているため、交感神経の働きが上がらず、副交感神経が優位なまま1日がスタートしてしまうことも...。気象病とまではいかないものの、雨の日にだるさを感じるのはそうしたことが原因といえそうです。雨の日の朝は少し早起きして、一品多めに朝食を作ったり、軽いストレッチをしたり、掃除をしたりするなどしてはいかがでしょうか。晴れの日より活発に動くことで、自律神経の切り替えをスムーズにしてくれます。血行が良くなるので、だるさの軽減にもなるでしょう。

春夏秋冬、季節ごとの自律神経の働きを知ろう

自律神経に影響を及ぼす天気。1年を通じて見た場合、季節の変化も自律神経が乱れる原因になっています。「季節の変わり目」に変調をきたすのは、自律神経が変化に追いつけず、心身が不安定になるからです。春夏秋冬、季節によって異なる自律神経の傾向を知ることは、来るかもしれない不調への対策にもなります。温暖化の影響で、夏に猛暑が続いたり、秋が短く、いきなり冬になったりと、気候そのものが変わりつつある現代。今まで以上に自律神経に注目する必要があるのかもしれません。

季節ごとの自律神経の傾向

<春>

暖かくなると副交感神経が活発化しますが、三寒四温で低気圧と高気圧が交互にやってきて、気温も急変。自律神経が乱れがちになります。

<夏>

天気の変化が少ない季節で、その点では自律神経が安定しやすいといえます。ただ発汗による体温調節や心拍コントロールで自律神経は大忙し。紫外線は交感神経を刺激します。近年はゲリラ豪雨も頻発し気圧の急変も。

<秋>

寒くなるにつれて交感神経が優位になってきます。秋雨や台風による気圧の変化、朝夕の寒暖差で自律神経がめまぐるしく変わります。

<冬>

寒さが進んで、ますます交感神経が優位になります。凍てつく空気に体もこわばりがちで、リラックスしにくい状態です。

<次回>調子が悪いのは、年齢のせいだとあきらめていませんか?(近日公開予定)

  • <参考書籍>
  • ・小林弘幸(講師). NHK趣味どきっ!カラダが変わる!自律神経セルフケア術. NHK出版, 2019.
  • ・小林弘幸監修. 名医が教える!自律神経を整えてカラダの不調を治す本. 宝島社, 2020.
  • ・小林弘幸. 自律神経を整える「長生き呼吸法」. アスコム, 2020.
  • ・小林弘幸. 自律神経の名医が教える ココロとカラダの疲れとり大全. SBクリエイティブ, 2021.

<監修>

小林弘幸

順天堂大学医学部教授/日本スポーツ協会公認スポーツドクター