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2023.01.20 Fri

「なんとなく不調」を整える自律神経のお話 ①(全5回)

自律神経はメリハリが大切!

「体がだるい」「やる気が出ない」「冷えがつらい」...。病気とは思えないものの、元気ともいえない、そんな「なんとなく不調」にお悩みではありませんか?実はその不調、自律神経の乱れが関係しているかもしれません。自律神経は心身を活動的にしたり、リラックスさせたりする機能を持っており、このスイッチがきちんと切り替わらないと、肉体的にも精神的にもさまざまな影響が及びます。

「体がだるい」「やる気が出ない」「冷えがつらい」...。病気とは思えないものの、元気ともいえない、そんな「なんとなく不調」にお悩みではありませんか?実はその不調、自律神経の乱れが関係しているかもしれません。自律神経は心身を活動的にしたり、リラックスさせたりする機能を持っており、このスイッチがきちんと切り替わらないと、肉体的にも精神的にもさまざまな影響が及びます。

そもそも自律神経って何?

自律神経は、体の働きを調整する神経のことで、司令塔である脳からの命令を臓器や筋肉に伝えるメッセンジャー、つまり"伝令役"のようなもの。起きているときも眠っているときも、私たちの意思に関係なく、生命維持に必要な呼吸や代謝に関する命令を24時間休みなく伝えて、私たちの体調を整えています。例えば、自然に汗をかくのも自律神経のおかげ。脳からの「体温が上昇しているから調節のために汗を出せ」という指令を自律神経が受け、それを全身に伝えることによって発汗を起こし、体温を下げるよう働きかけるのです。

自律神経には2つの指示系統があります。1つは交感神経で、「活動せよ」と指令を伝えるアクセル担当。もう1つは副交感神経で、「落ち着け」と指令を伝えるブレーキ担当。片方が優位になっているときは、もう片方が抑制され、状況に応じてどちらかが優位になることで、私たちの体がベストな状態でいられるように働きます。

1日のうちでは、昼間は交感神経が優位に、日が暮れると副交感神経が優位になるのが自然で理想的なリズムとされています。このリズムが整っていると、朝から日中にかけてはアクティブに、夕方からはリラックスした気分に切り替わり、休息を促してくれるのです。

自律神経が乱れる原因は?

「自律神経の乱れ」や「自律神経失調症」という言葉を耳にしたことがある方も多いと思いますが、これは自律神経を構成する交感神経と副交感神経のバランスが乱れた状態・症状をいいます。大きく分けると、昼間活発になる交感神経が強く働き過ぎてしまうなど、交感神経と副交感神経のいずれかが極端に強く働く「アンバランス型」の乱れ、交感神経と副交感神経の双方とも弱い「トータルパワー不足型」の乱れがあります。

自律神経が乱れる原因は実にさまざま。ストレスや緊張といった精神的なものから、昼夜逆転の生活、睡眠不足、不規則な食事といった生活リズムの乱れ、さらには季節の変わり目や雨が降っているといった、自分では防ぎようのない天候や気圧の変化、加齢などによるホルモンバランスの変化までもが、自律神経に影響を与えます。

自律神経が乱れるとどうなるの?

生命維持に必要な呼吸や代謝に関する命令を24時間休みなく伝えてくれる自律神経。自律神経が乱れるということは、この命令系統が乱れるということですから大変です。汗が出ず体温調節がうまくいかなかったり、夜になっても交感神経がアクティブなままで眠れなかったり...。腸への命令もつかさどっているので、お腹の調子がおかしくなることもよく聞かれます。体全体の管理をつかさどるので、体のあちこちに影響を与えてしまうのです。

不規則な生活が続いたり、新しい環境での生活がはじまったり、季節の変わり目などになんとなく体の調子が悪い、というようであれば、自律神経の乱れを疑ってみてもよいでしょう。

このシリーズ(全5回)の他の記事を読む

②季節の変わり目はなぜ体調を崩しがち?気候と自律神経の密接な関係

③調子が悪いのは、年齢のせいだとあきらめていませんか?

④自律神経を整えて、頭も腸も穏やかに

⑤自律神経が整う、朝昼晩おすすめルーティーン

  • <参考書籍>
  • ・小林弘幸(講師). NHK趣味どきっ!カラダが変わる!自律神経セルフケア術. NHK出版, 2019.

<監修>

小林弘幸

順天堂大学医学部教授/日本スポーツ協会公認スポーツドクター