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2023.05.12 Fri

今から気をつけたい!熱中症対策 ③(全3回)

熱中症にはウサギとカメの2対策 スギアカツキさんに聞く、水分の摂り方と食事のポイント

暑い夏が目前に迫っていますが、みなさん、毎日ちゃんと食べていますか?

「毎日規則正しく」「バランスの良い食事を心がける」というのが実は一番難しいもの。日々のスケジュールや体調、気候の変化もある中で、それらの外的要因にあわせてどう食べたら良いのか、わからなくなることがあって当然かもしれません。

そこで今回はゼロに立ち戻り、熱中症対策において本当に大切なことを整理してみることにしましょう。ポイントを整理していくと実は難しいことではありませんから、日常生活のカンタン確認だと思ってチェックしてみてくださいね!

暑い夏が目前に迫っていますが、みなさん、毎日ちゃんと食べていますか?

「毎日規則正しく」「バランスの良い食事を心がける」というのが実は一番難しいもの。日々のスケジュールや体調、気候の変化もある中で、それらの外的要因にあわせてどう食べたら良いのか、わからなくなることがあって当然かもしれません。

そこで今回はゼロに立ち戻り、熱中症対策において本当に大切なことを整理してみることにしましょう。ポイントを整理していくと実は難しいことではありませんから、日常生活のカンタン確認だと思ってチェックしてみてくださいね!

熱中症を予防するために重要なのは、ウサギとカメの2対策

そもそも熱中症とは、体温の上昇と調整機能のバランスが崩れることにより、体に熱がこもってしまう状態のこと。熱中症を引き起こす要因には、「環境」「体」「行動」の観点で分類すると、次のようなものがあります。

① 環境:気温や湿度が高い、風が弱い、日差しが強い、急に暑くなった、冷房がないなど

② 体:高齢者、乳幼児、肥満、糖尿病や精神疾患などの持病、低栄養状態下痢や病気による脱水状態二日酔い、寝不足など

③ 行動:長時間の運動や屋外作業水分補給できない状態

このなかで“飲食”に深く関係しているものを選別していくと、下線の事項がカギを握ることがわかるでしょう。つまり、これらに対して、一つひとつ具体的な対策を棚卸ししていけばよいのです。

なるべくわかりやすく考えてみると、対策は大きく2つに分けることができます。ズバリ、「じっくり長く進めていくカメ対策(日頃からゆっくりコツコツ気をつけること)」と、「即効性を期待したスピーディーなウサギ対策(すぐにやるべき直前予防や応急措置)」です。

カメ対策⇒肥満を改善する。低栄養状態に陥らないようにする。二日酔いに気をつける。

ウサギ対策⇒脱水対策をする。運動や作業後の栄養・水分補給をする。

つまり熱中症対策には、カメだけでなく、ウサギの精神も重要だということ。小さな努力を重ねることが結果的に大きく報われるカメ対策については、本文最後にある「夏バテ対策」にも共通する内容なので、ここでは深く触れませんが、自分が当てはまるかどうかのチェックをするきっかけにしていただけたら幸いです。

※当てはまる場合は根本的な生活習慣を見直す、専門家に相談するなどが有効です。

さぁここからは、熱中症の“ウサギ対策”について細かく見ていくことにしましょう。

毎日実践したい“熱中症ウサギ対策”とは?

ウサギ対策①脱水に気をつけようはじめにお伝えしたいことは、「脱水」を甘く見てはいけないということ。理由は、ヒトの体の60%は水分であり、最も多くを占める成分であるからです。水分量が少なくなると、尿量・頻度が少なくなりますから、脱水兆候に気づくための重要サインと覚えておきましょう。そして、こまめな水分摂取を心がけることも重要です。摂取する水分量が少ない時間が続くと、体内の働き(代謝作用)がうまくいかなくなり、さまざまな障害がでてきてしまいます。

水分は一度に大量に飲むのではなく、こまめに飲むのがポイントです。具体的には起床時、食事タイム、休憩タイム、散歩後、おやつタイム、入浴後、就寝前などがオススメのタイミング。特に今後は暑さが厳しくなるシーズンですから、“普段よりも多め”という意識も有効です。また、体温調節機能が低い子どもや高齢者の脱水状態は非常に危険ですから、子どもや高齢者が「のどが渇いた」と言う前に水分摂取の声がけをするなど、意識しましょう。

ウサギ対策②長時間の外出・運動後には適切な栄養補給を続いて重要なのが、「塩分」です。夏に失われやすい汗の成分を補給するために、ナトリウムが含まれる塩分を意識して摂取する考え方は間違いではありません。しかしながら、汗をたくさんかいていない状態で過剰摂取をしてしまうと、電解質など体内成分のバランスが崩れる可能性も。基本的には汗で失われた分の塩分を水分とともに補給することが大切で、多めに摂取すべき日は、暑さでたくさん汗をかいた、外遊びやスポーツをした、お腹を下している、食欲がない日などです。

また塩分摂取をする場合は、糖分と一緒に摂ることが有効です。これはブドウ糖が腸管での水分吸収(塩分吸収)を促進してくれるという理由によるもので、忙しいときや外出時にはスポーツ飲料やキャンディなどの活用が有効でしょう。

夏バテしないためのコツとは?

最後に、熱中症対策とあわせて重要なのが、夏バテ対策です。夏バテの原因は、疲労回復がうまくできず、食欲や免疫力が低下すること。暑さに負けない体づくりのために、食事面で押さえておきたいポイントとオススメ食材を整理しました。すべて覚えておくのはなかなか難しいでしょうから、気になるときに立ち止まって確認してみてくださいね。

【暑い夏に免疫力を上げる食事のポイント】

①主食・主菜・副菜をバランス良く

②朝食抜き、夕食の食べ過ぎは禁物

③冷たいものを食べ過ぎない

④疲労回復を助けるビタミンB1をたっぷり摂る

⑤食欲増進のため酸味や香辛料・香味野菜を活用

⑥ビタミンCや食物繊維、発酵食品を積極的に摂る

【夏バテ対策にオススメの食材】

豚肉、枝豆、パプリカ、ピーマン、モロヘイヤ、ゴーヤ、キウイフルーツ、
ベリー類、柑橘類、みょうが、しょうが、大葉

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<プロフィール>

スギアカツキ

食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。