SFブラン/ナチュブラン

“おいしさと健康”を両立させた新素材を追い求めて

高まる健康志向に応え、食物繊維が豊富な小麦ブラン商品を開発

小麦の約15%を占め、食物繊維が豊富に含まれている小麦の表皮“小麦ふすま”。社会の健康ニーズの高まりを受け、日清製粉は小麦のさらなる可能性を追求し、2017年に小麦ブラン商品の開発に取り組みました。しかし、機能性表示食品などに必要な成分の含有量を規格化できなかったこと、味(えぐみや食感のざらつき)に課題が残ったことなどから、消費者の健康をサポートするものとして目指す水準に到達せず、発売には至りませんでした。

それでも諦めることなく、粘り強く開発に取り組み続け、2018年から約2年の追加開発期間を経て完成したのが、よりおいしく、より健康に貢献する商品を目指した「SF(エスエフ)ブラン」です。改良にあたっては、業務用のお客様の最終商品が「機能性表示食品」として届出可能になるような「機能性素材としての提供」をゴールとし、ターゲットとした成分がお客様の最終商品に一定以上含まれるように、「含有量の規格化」の実現を目指しました。

そのターゲットとなった成分が、発酵性食物繊維「アラビノキシラン」です。当社にとって最も基本的な原料であり、ずっと身近な存在であり続けてきた小麦の粒から新しい機能性素材を開発するのは、日清製粉グループにとって大きなチャレンジとなりました。

味、風味、有効成分含有量などの最適なバランスを追求

「SFブラン」の開発で最大のポイントになったのは、アラビノキシランの規格化でした。小麦は農産物であり、栽培された年や地域によってどうしても品質にバラつきが生じてしまうため、その中の成分を規格化することは困難でした。加えて、アラビノキシランを精度良く測定する難しさもありました。そこで日清製粉グループ本社の研究所とも緊密に連携しながら、アラビノキシランの規格化という目標達成のために一丸となって、さまざまな条件、製造・分析方法を試し、膨大な量の分析やデータ解析を根気よく繰り返していきました。こうしてグループ全体で結成されたチームが多くの知恵と努力を惜しまず注ぎ込んだことで、アラビノキシランの規格化に成功したのです。

さらに、独自製法によって小麦ふすま独特のえぐみを抑えて食べやすくするとともに、一般の小麦粉並みの粒度に仕上げることで加工性や食感の向上も実現しました。開発チームの熱意と日清製粉グループが蓄積してきた技術力、ノウハウを結集することで開発した「SFブラン」は、2022年2月にグループ会社の日清製粉ウェルナから家庭用機能性表示食品「ナチュブラン」としても発売されました。

手軽でおいしく健康的な商品の拡大へ

今回の「SFブラン」と「ナチュブラン」の開発、「ナチュブラン」の機能性表示食品の届出に当たっては、日清製粉・日清製粉ウェルナ・日清製粉グループ本社の各担当者、各チームが活発に意見を出し合い、より消費者の健康に貢献できる商品を追求し続けました。その結果、当初想定していた日清製粉の業務用のお客様だけでなく、日清製粉ウェルナの手によって各家庭でも小麦ブランの機能性を手軽に役立ててもらえる商品「ナチュブラン」を世に送り出すことができました。

しかし、小麦ブランの機能性と商品の認知度にはまだ伸びしろがあり、認知度の向上にも取り組んでいく必要があります。両商品の発売はゴールではなく、日清製粉グループが多様な消費者の健康をサポートしていく通過点に過ぎません。小麦から生み出した機能性素材や小麦についての知見を通じて、人々の健康寿命の延伸や食の喜びに貢献することを目標として、これからもグループ全体で取り組んでいきます。

「SFブラン」のような商品ももちろんですが、特徴的な商品や新たな市場を開拓する商品の開発に取り組んで、将来には日清製粉グループの事業基盤になっているような仕事をするのが夢です。

日清製粉株式会社 生産本部
木本 匡昭(左)

これまで多くの機能性表示食品の開発に携わってきましたが、今後もより多くの消費者の皆さまから求められる商品を生み出していきたいと考えています。

株式会社日清製粉ウェルナ プロダクトマネジメント統括部
福田 真人(右)

※ 所属は取材当時