
発酵性食物繊維の食べ合わせ術 ②(全2回)
高たんぱく・高脂肪・高糖食が気になる人へ。知っておきたい発酵性食物繊維の取り入れ方
筋トレやダイエットのためにたんぱく質を積極的にとったり、忙しさから外食や加工食品に頼ることが増えたり。多くの人にあてはまるこれらの食生活ですが、実は腸内環境を乱してしまっているかも…。
前回はシンバイオティクスについてお話ししましたが、今回は食生活の偏りが気になる人におすすめしたい発酵性食物繊維の取り入れ方をご紹介。高たんぱく・高脂肪・高糖食という現代によくある3つの食生活タイプに合わせて、発酵性食物繊維がどのように役立つのかをお話しします。
筋トレやダイエットのためにたんぱく質を積極的にとったり、忙しさから外食や加工食品に頼ることが増えたり。多くの人にあてはまるこれらの食生活ですが、実は腸内環境を乱してしまっているかも…。
前回はシンバイオティクスについてお話ししましたが、今回は食生活の偏りが気になる人におすすめしたい発酵性食物繊維の取り入れ方をご紹介。高たんぱく・高脂肪・高糖食という現代によくある3つの食生活タイプに合わせて、発酵性食物繊維がどのように役立つのかをお話しします。
高たんぱく食タイプ
たんぱく質は体づくりに欠かせない栄養素であり、特に筋トレ後の筋肉の回復やダイエット中の髪や肌の健康維持などを目的に、意識的にとっている人も多いでしょう。しかし、たんぱく質をとりすぎると、胃や小腸で十分に分解・吸収されず大腸まで到達し、腸内細菌のエサになります。特に日和見菌や悪玉菌がたんぱく質を好んで食べるため、悪玉菌や悪玉菌化した日和見菌が増殖して腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)のバランスが崩れます。また、悪玉菌がつくりだすアンモニアや硫化物などの有害物質によって便秘や腸のバリア機能の低下が起きるおそれがあります。
こうしたときに助けになるのが、発酵性食物繊維です。悪玉菌のエサになりやすいたんぱく質に対して、発酵性食物繊維は善玉菌のエサになりやすく、善玉菌を増やし、短鎖脂肪酸をつくりだすことで、腸内環境の維持に役立ちます。
高脂肪食タイプ
忙しい毎日の中で、外食やデリバリーを利用する機会が増えると、揚げ物や加工肉、バターや生クリームを使った料理など高脂肪のメニューを食べる機会も増えてきます。脂肪が多い食品を摂取すると、脂肪を消化するために胆汁酸が大量に分泌されます。その一部が大腸にも流れ込むことで胆汁酸に耐性のある腸内細菌が優位になり、腸内細菌叢のバランスが変化。善玉菌の減少につながります。また、たんぱく質同様、分解・吸収しきれず大腸まで到達した脂肪を悪玉菌がエサにして有害物質をつくりだすなど、複合的な原因により、腸内環境が悪化。腸のバリア機能が弱まり、慢性的な炎症などを招くことが指摘されています。
ここでも発酵性食物繊維が頼りになります。エサになることで善玉菌を増殖させると同時に、短鎖脂肪酸をつくらせ腸のバリア機能を強化するなど、腸内環境を守ってくれます。
高糖食タイプ
精白米、パン、麺、加工食品、スイーツ、清涼飲料水。現代の食生活は、気づいたら糖質を多くとっていたなんてことも。糖質をとりすぎると、血糖値が急に上がって、その後急に下がる「血糖値スパイク」が起こります。血糖値スパイクは、強い眠気やイライラ、疲れやすさを感じるだけでなく、長く続けると、インスリン(食事で増えた血糖値を下げる、膵臓から分泌されるホルモン)が効きにくくなり肥満や糖尿病の原因に。さらに、脳の働きにも影響があり、集中力や記憶力の低下も報告されています。
ここでまた発酵性食物繊維の出番です。これまで発酵性食物繊維が大腸で腸内細菌のエサになることに焦点をあててお話ししてきましたが、活躍の場はそれだけではありません。先に発酵性食物繊維をとると胃の中で周囲の水分を含んでゲル状になりゆっくりと進んでいくため、後からやってきた糖質も小腸に移動するスピードがゆっくりになります。さらに、小腸の壁を膜のように覆い、糖が吸収されるのを緩やかにします。また、これまでお話ししてきたように、大腸に到達した発酵性食物繊維は、善玉菌のエサになることで短鎖脂肪酸をつくりだしますが、短鎖脂肪酸は血糖値を下げるインスリンの働きをサポートします。これらにより、結果的に血糖値を安定させてくれるというわけです。
発酵性食物繊維は、現代の食生活の強い味方
どのような食生活でも、それ自体が悪いわけではありません。ただ、偏りすぎると腸内環境が乱れ、さまざまな不調につながることも事実です。そんなとき、発酵性食物繊維を一緒にとることで、腸内環境や血糖値を安定させる調整役になってくれます。とはいえ、発酵性食物繊維を一緒にとれば何をいくら食べても大丈夫ということではありません。まずは発酵性食物繊維にこのような働きがあることを理解し、肉が続く日も、脂っこい料理が重なる日も、甘いものに手が伸びる日も、発酵性食物繊維をそっと足してみること。その小さな習慣が、現代の食生活を支えてくれる大きな力になるでしょう。
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<監修>
青江誠一郎
大妻女子大学 教授/日本食物繊維学会 理事長
