
パンはパンだけ、コーヒーはコーヒーだけ楽しむより、いっしょに合わせると、楽しみ方は何倍にもふくらむ!
パンを食べ、そののちにコーヒーを飲むと、どれだけスパークするか?
実際に食べながら、飲みながら、探っていきます。
オーナー兼焙煎士として2008年に東京・中目黒に「CAFE FACON」を開業。2014年、代官山「CAFE FACON ROASTER ATELIER」と「CAFE FACON COFFEE STAND」を同時オープン。現在は、コンサルタントなども積極的に行っている。豆の卸先は、有名レストランやブーランジェリーなど、日本全国に多数。2019年10月、インドネシアのジャカルタにプロデュース店をオープン。
今回、パンとコーヒーのハッピーな組み合わせを求め、挽きたてのコーヒーをいただける代官山「CAFE FACON ROASTER ATELIER」で会議を行いました。

池田浩明
ペアリングをやる上で必要な知識、考え方を教えてください。
岡内さん

はい、いいですよ!
法則1:似たもの同士で合わせよう


池田浩明
いろんな豆があってわかりづらいんですけど、タイプで分けることってできるんですか?
岡内さん

色でイメージしてるんですよ。
ベリー系だったらピンクとか紫、オレンジ系だったらオレンジ、レモン系ならイエロー。同じ系統の色を持つ食べ物は相性がよく、合わせやすい。

池田浩明
似た香りをもつ食べ物と合わせればいいんだ。
岡内さん

たとえば、ピザトーストには、ケチャップがついていますよね。
そうすると、赤いトマトみたいな酸味のある香りのケニアの豆が、純粋に重なりあって相性がいいんです。
法則2:口の中で「料理」を完成させよう


池田浩明
逆にチーズトーストに、トマト風味のケニアの豆を合わせると、ピザトーストになって完成! とかないんですか?
岡内さん

はい、そういうのもあります。トマト風味だからチーズと合わせてみよう、とか、バジルと合わせたらおいしいだろうな、とか。
料理をするみたいに合わせると、コーヒーだけで飲んだときとちがうおいしさが出てきますよ。

池田浩明
最近のスペシャリティコーヒーの説明には、豆のもつフレーバーを「ナッツ」、「オレンジ」、「レーズン」とか書いてくれてますけど、あれを参考にすればいいんですか?
岡内さん

そうです。コーヒーと考えずに、味として考えたほうがわかりやすいですよ。

池田浩明
いま流行りの生食パンと相性のいいコーヒーを知りたいです。
岡内さん

ストロベリーの風味がある、イルガチェフェのナチュラルはどうでしょう。パンにバターをたっぷり塗って。イチゴジャムのイメージです。
生食パン×ベリー風味(エチオピア イルガチェフェ ナチュラル)
パンとエスプレッソと “ムー”

池田浩明
いただきまーす! (パンを食べて、そののちにコーヒーを飲む。)あー、きたー!
いちごミルクになった! 香りの広がりがやばいですね。
やっぱり、バターの油分があったほうがいいんですね。
岡内さん

油分があると、刺すような酸味とか苦味がそれを包んでマイルドにしてくれるんです。

池田浩明
たしかに、酸味もまた心地いいんですよ。
岡内さん

全体を馴染ませる素材があると、まとめてくれる。いろんな野菜が入ってるサラダも、ドレッシングをかけると全体的になじんで、おいしくなるのと同じですね。
もうひとつ、生食パンといっしょに、グァテマラも飲んでみてください。


池田浩明
おー! これは、バターの甘さとコーヒーの苦味がきれいに合いますね。古典的な組み合わせ。コーヒーとトーストに求めているものを見事に満たしてくれますね。
岡内さん

すごい驚きはないけど、鉄板ですよね。これは深煎りなので、バターの油分を切ってくれることも、食べやすくしてくれてるんです。

池田浩明
後味がしつこくないので、すいすいいけますね!
#01では豆のタイプ別に合わせて「口の中で料理を完成させる」というイメージで、まずは食パンとのペアリングを楽しんだお二人。#02では応用編としてもっと複雑で面白いパンとコーヒーの相性を探っていきます!