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2022.04.08 Fri

あなたの眠りは大丈夫?眠りのプロに聞く安眠法 ⑤(全6回)

どうしても眠れない夜のお助け対処法

一般的に、ベッドや布団に入ってから約25分以内に寝つくのが理想といわれています1)。しかし日中の出来事を思い出して目が冴えたり、気になることや悩みごとがあったりすると、なかなか眠れない夜もあるものです。そんなときに試してほしい入眠テクニックをご紹介します。

一般的に、ベッドや布団に入ってから約25分以内に寝つくのが理想といわれています1)。しかし日中の出来事を思い出して目が冴えたり、気になることや悩みごとがあったりすると、なかなか眠れない夜もあるものです。そんなときに試してほしい入眠テクニックをご紹介します。

緊張をゆるめ心と体をほぐす
ストレッチ&スリープヨガ

寝る時間になっても一向に眠気がやってこない...。もしかすると日中の緊張状態が持続し、緊張をつかさどる交感神経が優位になっているかもしれません。そんなときは、以下にご紹介するストレッチやスリープヨガで心と体をほぐしましょう。

リラックス効果をつかさどる副交感神経に働きかけ、眠りへと誘うのが目的なので、激しくする必要はありません。一生懸命やり過ぎると交感神経が働き逆に目が覚めてしまうので、ゆっくりと自分が気持ち良いと思う範囲で行います。最後に腹式呼吸(お腹を凹ませながら口から息を吐き、吐ききったら鼻から空気を吸ってお腹に空気をためる呼吸法)を行うと、さらに深いリラックス感が得られ安眠につながります。

全身ストレッチ2)

① 片方の腕を伸ばして、もう片方の腕をクロス。クロスした腕で伸ばした腕を引っ張る。バランス良く、両腕を伸ばす。

② 両手を頭の上で組み、二の腕の内側、わき腹など体の側面を意識しながら横に反らすように伸ばす。片側を伸ばしたら、反対側も同じように伸ばす。

③ 床に座って足の裏をぴったりとくっつける。足先を手でつかみ、ゆっくりと呼吸しながら、おじぎするように上半身を前に倒す。

全身ストレッチ2)

① 片方の腕を伸ばして、もう片方の腕をクロス。クロスした腕で伸ばした腕を引っ張る。バランス良く、両腕を伸ばす。

② 両手を頭の上で組み、二の腕の内側、わき腹など体の側面を意識しながら横に反らすように伸ばす。片側を伸ばしたら、反対側も同じように伸ばす。

③ 床に座って足の裏をぴったりとくっつける。足先を手でつかみ、ゆっくりと呼吸しながら、おじぎするように上半身を前に倒す。

筋弛緩ストレッチ2)

① ベッドや椅子に腰かける。力を抜いて手足をぶらぶらさせ、全身をほぐす。

② 顔面、手、足にギュッと力を入れる。足先は天井を向いている状態。そのまま5秒間キープする。

③ 顔面、手、足の力を抜き、全身を楽にする。手は開いて、足先はリラックスしている状態。そのまま5秒間キープする。
①から③を5回繰り返す。

筋弛緩ストレッチ2)

① ベッドや椅子に腰かける。力を抜いて手足をぶらぶらさせ、全身をほぐす。

② 顔面、手、足にギュッと力を入れる。足先は天井を向いている状態。そのまま5秒間キープする。

③ 顔面、手、足の力を抜き、全身を楽にする。手は開いて、足先はリラックスしている状態。そのまま5秒間キープする。
①から③を5回繰り返す。

スリープヨガ・ワニのポーズ3)

① 仰向けになり右膝を立てたら、両手で右膝を抱えて胸に引き寄せる。

② 右膝を左へ倒し、左手で右膝を押さえる。上体は右にひねり右腕を伸ばす。余裕があれば顔も右を向き、ゆっくり5回呼吸を行う。

③ 元の姿勢に戻り、反対側も同様に行う。

スリープヨガ・鋤(すき)のポーズ3)

① 仰向けになり、両手のひらを下に向けてまっすぐ伸ばす。

② 両手を腰に添えて両足を天井の方へ上げ、上体を倒しながらそのまま頭上の先まで伸ばす。足先と手のひらを床につけた状態で5回呼吸を行う。

③ 息を吐きながら背骨を1つずつ床に置くようにゆっくりと背中を戻す。

スリープヨガ・ハッピーベイビーのポーズ3)

① 仰向けになり、両膝を立てて肩幅程度に開く。腕は体の横にまっすぐ伸ばし、手のひらを下に向ける。

② 足を上げて太ももをお腹に引き寄せ、足の裏をつかんで5回呼吸を行った後、ゆっくり足を下ろす。足の裏をつかんだ状態で呼吸するときは、両膝を床に引き寄せながら息を吸い、両膝をゆるめて少し床から離しながら息を吐く。

焦りと不安は逆効果!
こじれてきたら寝床から離れて

眠れないことが気になりだすと「早く眠らなければ」と焦り、さらに眠気から遠ざかっていきます。「目を閉じて横になっているだけでもいい」という方もいますが、眠れないまま不安を感じながら寝床で過ごす状況が続くと、脳が「寝床=眠れない場所」と記憶してしまい、眠れないことが常態化してしまいます。眠れないからと、ベッドや布団の中で時計を見ることもNG。焦りと不安が増大してさらに目が冴えてしまいます。

こんなときにおすすめしたいのは、いったん起き上がって寝床から離れること。ただし明かりは最小限に。照明を落とした薄暗い空間で、好きなことをして心穏やかに過ごしましょう。先述したストレッチやヨガのような運動はもちろん、アロマオイルを焚いたりヒーリング音楽を聴く、ホットミルクやハーブティーを飲むのも良いでしょう。単調な作業は眠気を誘う効果があるので、洗濯物を畳んだり爪のお手入れをするのもおすすめ。反対に、明るい光を浴びるスマートフォンやパソコン、テレビ、カフェインを含む飲み物は厳禁です。

一番究極の対処法は「1晩2晩、眠れなくても何ということない!」と開き直ること。"眠れない焦り"というストレスから解放してあげることが大切なのです4)5)

一番究極の対処法は「1晩2晩、眠れなくても何ということない!」と開き直ること。"眠れない焦り"というストレスから解放してあげることが大切なのです4)5)

羊の数を数えて眠れるのは、欧米人だけ?

眠れないときには「羊が1匹、羊が2匹...」と数える─── 誰もが一度は試みたことがあるのではないでしょうか。この慣習は欧米ではじまったといわれており、羊が眠気を呼ぶという根拠は諸説ありますが、有力なのは次の3つです。

  • 1.広大な土地に放牧されている羊の様子をイメージして、単調な作業を繰り返すことで眠気を呼ぶ。
  • 2.英語では「シープワン(sheep one) 、シープツー( sheep two)...」と発音することから、腹式呼吸となり、リラックスをつかさどる副交感神経が優位になって眠気を呼ぶ。
  • 3.シープ(sheep)の発音が、眠り=スリープ(sleep)に似ているので眠りに入る暗示にかかる。

この2と3の根拠を考えると、日本語で「ひつじ」と発音しても効果が無いということに...。そこで、「羊」に代わって唱える日本語をご紹介します。それは「ひと~つ」「ふた~つ」という昔ながらの数え方。できるだけゆっくりと数えると腹式呼吸に近い呼吸リズムになり、リラックスして眠気が訪れやすくなるそう。ただし、数が大きくなると「こんなに数えたのにまだ眠れない!」と焦りや不安を増大してしまうので、1から10までを繰り返して数える方がいいようです。羊の数を数えて眠れなかった方はぜひ試してみてください6)

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①それ間違っているかも...あなたの"睡眠常識"は大丈夫?

②快眠のカギ「眠りはじめの3時間」をとことん深くするには?

③朝からシャキッと目覚める方法

④眠れない・・・とお悩みの方にも!毎晩スーッと寝つく方法

⑥睡眠に役立つ"快眠食材"とは?

<監修>

友野なお

睡眠コンサルタント/(株)SEA Trinity代表取締役/日本公衆衛生学会/日本睡眠学会/日本睡眠環境学会 正会員/産業心理カウンセラー